康平はイライラしていた。

道端の空き缶を蹴り飛ばし、つまらなさを嘆いた。

「また、やっちまった…」と、一人呟く。


歳は17。学校には行ってない。

なぜ?染まってしまったのさ。

中学の時に転校してきて、俺は一人だった。

軽いイジメ。

後ろから消しゴムを投げられたり、物を隠されたり…。

ヘラヘラ笑いながら…。


それはどんどんエスカレートしていった…。

先生や学校も見てみぬフリ。他の奴らも"標的"にはなりたくないと、俺の存在を"消した"

いるのにいない。


…そして俺はキレた。

机を引っくり返し、座っていたイスで、リーダー格を狙いすまして、振り下ろした。

頭から吹き出す血。

ごうごうとなる耳鳴りと、悲鳴と罵声。

ただ俺は、狂った機械の様にもう一度、もう一度と振り下ろした。

取り巻き連中が止めに入るも、赤い凶器を振り回すと近づけないみたいで、教師達に押さえ付けられるまで、俺には記憶がなかった。

数日間の謹慎のあと、久しぶりに登校すると、まるで景色が変わって見えた。

灰色がかっていた世界に、急に色がついたみたい。


手の平を返すように近づいてくる"傍観者"

ただ気分はよかった。

世界の頂点を極めたみたいに、みんな言うことを聞いた。

かわいそうなんて思わなかった。

俺にとっては"加害者"でしかなかったから。


ただ俺は確実に染まっていった。

"力"というものに魅せられてしまった。


気分は"王様""絶対的な権力者"

ただそれも卒業までだった。


力に染まっていた俺は、入学してすぐにケンカで学校を追い出された。


そしてすぐに親の知り合いのところで働かされた。

仕事は清掃員。ビルの窓拭きだ。

俺はいつも50過ぎのじいさんと組まされた。

明らかに力もなく、すぐにサボる。

そのくせに、昔の自慢話だけはやたら勝ち誇っている。

(うぜえな…)

社長が来る時間だけ働いて、ほとんど俺ばかりにやらせる。

「てか、さっきから休憩しすぎじゃないんすか?」

『じゃあお前は仕事を全部覚えたのか?やらなきゃ覚えないぞ。そのために俺は、手を出さないでやってるんだ。』


さすがに我慢できなくて、社長に話すと『彼からはまったく逆のことを聞いてるよ。若いのに働かないってね。…まぁ仲良くやりなさい。』


…止められなかった。


次の日、俺はじいさんを殴ってクビになった。