4年ほど、ボストンで暮らした。
知らない地での一人暮らしは、様々な出来事に遭遇する連続で、
新たな自分と向き合う毎日でもあった。
楽しみは、近くにある公園に出かけることで、
休日に憩いやふれあいを求め、よく利用した。
「ボストンコモン」は、アメリカで最も古い公園で、
市民のオアシスとして愛されている。
あるとき、白いひげをたくわえた初老の紳士が、
『ここは、アメリカの悲しみと涙の舞台だった。』
と、公園の歴史を詳細に教えてくれた。
緑に囲まれた広大な敷地に集う人々。
木陰のベンチにサンドイッチを広げる幼児とオシャレな母親。
ベンチで語らう恋人同士やグループ。
平和なひとときにまじって、自身を包んでくれたあのころを、
まるで昨日のことのように思い出される。
日本に帰国してから、7年が経過した。
時が経つのは早いものだと、今更ながら痛感する。
現在、生まれ育った家で暮らす毎日は、
庭でさえずる小鳥や風にそよぐ樹々に囲まれ、
常に守られている感覚に包まれる。
今、静まり返った真夜中のリビングで、
純粋に想いを交わした人を巡らせる。
あの頃は、すべてが澄み切って、
歓喜する声にも希望と情感が溢れていた。
あれから何度めの夏を迎えたのだろう。
季節は、彩り鮮やかな陽春から、
空高くそびえる向日葵の夏へと移ろっている。
【聴きたくなった歌】L'appuntamento
【ボストンコモン】
【自宅の庭より】






