オカに誑かされて、少年部入隊志願書を持ち帰ったユキは、どうしてもM光隊に入りたかった。
それは少年部は即入隊で、そのまま青年部へエスカレーター式に持ちあがるため、入隊志願書を書く。
だけど分隊長のタマちゃんは、妹も一緒に…と薦めてくれる。
彼等にとって、将来有望な組み手の志願は嬉しい。
当時、まだ主婦であってもM光隊への志願は許されていたが、徐々に制限が設けられていく中、少年部入隊は義務化しつつあった。
そんなある日、正月休みの終盤で、Y田お浄め所で恒例の霊界お浄めがあるという。
ユキは新しく赴任してきたM田導士とワカマツ君に誘われて、正月早々にY田へ行くというのだ。
週末なので、部活は休みになったんだが、交通費がかかる。
行かないからといって、別に問題はないのだが…ここでもオカが絡む。
結局、強引にユキに連れられて行くことになる。
そして、何故だか知らないが、最寄駅に着くと導士が軽トラで待っていた。
近くの農家の組み手さんに借りたという。
すでに一行は山の頂上を目指して出発しており、導士は用があって遅れて参加するため、途中、ついでに遠方からくる私達を拾って合流するのだと言った。
なるほど、すでにそんな段取りがあって、ユキは彼等と約束をし、強引に私を連れてきた理由は、そういう話が済んでいたって事らしい。
そう言えば、何もないのにユキが私を連れて行こうとするわけがない。
ヘンだと思ってはいたけれど、ユキの都合で連れてこられたと知り、何かに利用されたことを理解した。
中二は部活も忙しいし、クラスの厄介事に振り回されているので、冬休みの終わりは宿題を片付ける絶好のチャンスだ。
そんな日に無理やり連れだしたことに、何かあると勘ぐっていただけに、ユキの思惑に載せられた感が否めない。
そもそも何しに連れ出されたか、説明もなかったわけで。
霊界お浄めと訊き、初対面の導士に質問した。
入信しておよそ一年。
ほとんど何も誰も教えてくれないが、毎月500円を奉納しに最寄りの拠点であるT辺連絡所に行く。
あとは近所のマッサージ師の主婦宅へ通い、お浄め交換をしている。
それだけで十分だったのに、ユキがオカに唆されて持ち込んだM光隊の話。
それが間違いの元だった。
小学生の頃、転校して一週間目にやってきた転入生のニシモト。
一ヶ月ほど経ったある日、掃除中に告白されたことがある。
同じ頃、クラスにいた二卵性の双子姉妹。
彼女たちはクラスでイジメに合っていた。
そんな彼女等の味方した時、イジメのターゲットが私に移る。
だが、中学ではいじめっ子を撃退。
そして双子姉妹の世話係になる。
とくに妹の方は場面緘黙症で、クラスのお荷物的存在で、何をする時も手間がかかる。
一人では何もしない、できない妹は…構ってもらうのが当たり前となっていた。
そう、彼女ら双子姉妹は誰かしらに構われ、常に弱い立場に居て同情を煽る。
自らの意思で改善することも無い。
彼女等は自宅に置いて、学校から帰宅すると自室にこもり、万年床へ制服のままで潜り込むのである。
兄が二人いて、長男が生まれつき病弱だったとか。
そして次男は逆に自立していて、掃除に洗濯、身に着けるすべての物に自分で購入したアイロンをあて、自己管理しているのだという。
なので一切自室に入る事を許さず、宿題は勿論だが忘れ物などしない。
この二人、私の上二人の姉と同級生だ。
しっかり者で優等生の二男という印象があるが…実際に高校を卒業し、地方公務員になった。
結婚も早くて、二十代で自力でしているし、しっかりと家庭を持っている。
一方で長男も末っ子の弟も四十代半ばまで実家住まいで結婚も遅かった。
結婚相手が出来るまで、定職にもつかずに自立心も無い。
そんな兄弟姉妹の中で育った双子姉妹は、高校を卒業すると家を出ていく。
だけど自立心も無いので、何処へ行ってもイジメに合うし、誰かしらに庇護されている。
つまり、この双子は常にトラブルメーカーになるのである。
このお荷物コンビをこの先ずっと面倒見ることになるのだが…。
その双子、何かと面倒をかけてくれるわけだが、当の二人にはその自覚はない。
遊びに誘えば必ず二人揃ってやってくる。
何をするにしても二人で一人。
宿題もしてこなければ、塾へ行く時も二人一緒。
体操着も教科書も辞書も各々別々に持っていても…クラスが違うので貸し借りが当たり前。
ただ、高校卒業後の進路だけは同じとはいかなかった。
周囲を振り回す二人は、このまま大人になる。