京型鋏3点

左 京津島、中 京型2号、右 京型1号

 

京型鋏3点、最初に伝えておきます。とってもよくできています。

 

京鋏と型鋏と云っている理由、結論から云うと芯金、ツル部分を除いた形状は似せているというより、京津島をみると独自の型鋏を主張しているようにも感じる。単に型鋏を購入してきた自身もある事なので今回の紹介の仕方を誤るとメーカーやら鍛冶屋さんまで総スカンを喰らう恐れもあるので慎重に紹介しようと思う。

 

といっても今時点で全機種を持ち比べた資料も無いわけで、しかも今度作った何某はどうですかのリサーチも現物を送られてくるでもなし、今更忖度の意味も無いので、最初から京型であって別物として扱い何処の何が異なるのかを記していこうと思います。

 

最初に申し上げておきましょう。手にしようと思っているあなたはどの様に感じたでしょうか。今度お会いした時に是非聞かせてください。

 

ということで京型鋏3点始まりです。

 

 

型鋏と云えども京鋏の何処特徴があるのかを解析検証してみようと思い現在、ネットで販売されている京鋏の3点を口清、重春、安広、大覚寺の形状から検証してみようと思います。なので、基準が口清の鋏になるので今回はキリバシでなく、ツル手の手鋏形状の検証になります。

 

次の画像は重春の二態

 

今回は以前より京型鋏の検証記をブログにしようと思い、振り込んでも商品来ない詐欺に掛ってからの半年、漸く手中にしてからの比較検証になります。

 

現在でも流通経路をみると名のある刻印がある事で掛け率とともに刻印価値利益を見込む商品でもあります。

 

今回は「花吹雪京型1、2号」と以前からかなり気になっていたほんまもんの「京津島」京津島の京は胴部分と打辺りを示し、ツル手部分が津島鋏の様にやや下部分になっている形状を示していると判断いたしました。

 

 

そしてリクエストの白紙

で制作をお願いしました。今年2023年2月頃にお願いしてこの10月漸く届きました。

ここで花吹雪との価格比をみると、ハッキリ言ってお値段以上の商品です。

 

アゴが命の京鋏、2015-08-24自身のブログに板金鋏リメイク段階では既にしっかりアゴ付きの軸周りのアゴを削り出してみた結果、刃競りが良くなることは理解し、実際に削り込んだ結果があり、驚くことは無いが2019年にはアゴ無し製品がマルワ工器より製作出販されていた事の方が驚き、以前から鋏の開発に関わり合いたいと思ってはいたが.......、そういう企業体質であることがよく判った。

 

そのうえで今回の比較を実行いたします。

 

 

それでは価格比に続いて機能的部分から.........

 

先ず大きさについて、見た目が京津島の方が若干大きく見えるが、刃巾が広く刃長も2分ほど花吹雪よりも大きく造られている。

 

 

ほんまもん「京津島」は総長7寸6分、巾約4寸、刃長2寸2分 308g

花吹雪京型椿「1号」総長7寸3分、巾約3寸8分、刃長2寸  256g

花吹雪京型「2号」総長7寸3分、巾約3寸8分、刃長2寸   289g

 

製品管理からみても人が携わっているのであれば同じように作られている事はある意味凄い事だと思います。

 

軸周り、顎部分について

 

ほんまもん「京津島」はアゴ付き、それによってしっかりとした安定性をもたらしている。

 

芯金については現実的には開いたことが無いので正確にはいえないが、外見(軸間)で見ても丸棒と確認ができ、伝統的なカチコミ(角丸芯棒ではなく片方止め)であればいずれボケて(使い減り)京鋏になるのかもしれない。白紙でこのお値段で、アゴ無しに改造し「屋号水落(讃岐親方)」に丸棒の芯金に改造した段階で次期機種としても良いと思います。

 

花吹雪京型「1号」は当初からアゴ無しであっても京鋏特有のガタガタはありません。むしろアゴ無しでよくここまで安定性を保っているのかその方が驚きですね。

 

こちらは新潟産の特徴としての芯金は軸部分の隙間からも角丸芯金が確認できます。おそらくこれが丸棒であれば一回転できるくらいのガタツキになるのかもしれません。

 

花吹雪京型「2号」は新潟産の鋏に多いアゴ付き、当初からアゴ付きの説明がされており、軸周りの安定性を維持できる。

 

花吹雪京型「1号」同様軸部分の隙間からも角丸芯金が確認できるので軸周りの改造で京鋏になり得る要素増える事になります。

画像でしか判断できませんが、直近見ている安広さんのアゴ部分はしっかり付いているのを見ると全国区の形状になっているのかなと思います。

 

アゴ有り、無しの理由

アゴありの理由は2015年のブログでも示したように構想を含め10年ほど前くらいから薄っすらと理解し、実際実験してみたところ指摘したように軸周りの安定感がなくなり、二枚刃の競り合いが強くなる。悪く云えば刃が喰い合う手前になることがわかった事です。

 

同時に芯金が何故丸棒なのかについても作り手側、使い方からは過去に於いても出てくる意見はないところ京鋏の祖口清の軸周りを開けたところ見事に均等に心棒が減っている事も明らかになった。

 

入管理方法等から派生した鋏形状があるとすればローカルな形状が在って然るべきだと思います。大久保鋏の様に古流が派生した頃から花鋏から利便性からツル手が付くとか積年の手入れから大きな手鋏の必要が無いであるとか、荒れた(力枝)を切断するためある程度の太さの枝が剪めるため鋏が大きくなるといった理由からその地域の鋏が派生することは極自然と云えるのではないかというのが自身の持論である所以です。

 

その昔、自身が使っていた鋏の中で播州物の芯金がボケて(芯金が減る)丸棒の状態で使っていた感覚はまさに京鋏そのものだったこともいえる。口清の芯金が○なのは単に○を使ったのか?それともボケた芯金がモデルだったのか?何故丸棒であったか今となっては謎部分となってしまった。泉の国泉州も播磨の国播州にもほど近い山城の国城州京都、単に○である芯金の頭を変形させずに丸めるにはかなり神経を使う事は確かだ。

 

胴回りから打ち辺り部分について

京鋏の形態については以前Bさんのブログや重春さんの記事で示したように握部分の胴や打ち辺り付近の形状が在る事は紹介してきた。今回紹介するのは握り胴部分打ち辺りがシュッとした花吹雪京型1型、安広タイプで若干シュッとしながらもずん胴。

 

アゴありになった経緯は作り手の工夫や依頼側のリクエストもあったとしても、つまり手入管理方法等から派生した鋏形状があるとすればローカルな形状が在って然るべきだと思います。大久保鋏の様に古流が派生した頃から花鋏から利便性からツル手が付くとか積年の手入れから大きな手鋏の必要が無いであるとか、荒れた(力枝)を切断するためある程度の太さの枝が剪めるため鋏が大きくなるといった理由からその地域の鋏が派生することは極自然と云えるのではないかというのが自身の持論である所以です。

 

その昔、自身が使っていた鋏の中で播州物の芯金がボケて(芯金が減る)丸棒の状態で使っていた感覚はまさに京鋏そのものだったこともいえる。口清の芯金が○なのは単に○を使ったのか?それともボケた芯金がモデルだったのか?何故丸棒であったか今となっては謎部分となってしまった。泉の国泉州も播磨の国播州にもほど近い山城の国城州京都、単に○である芯金の頭を変形させずに丸めるにはかなり神経を使う事は確かだ。

 

胴回りから打ち辺り部分について

京鋏の形態については以前Bさんのブログや重春さんの記事で示したように握部分の胴や打ち辺り付近の形状が在る事は紹介してきた。今回紹介するのは握り胴部分打ち辺りがシュッとした花吹雪京型1型、安広タイプで若干シュッとしながらもずん胴。

 

ほんまもん「京津島」も花吹雪京型1型、安広タイプと同じ形状、そうなるとシュっとした安広形状は販売店のリクエストか、何かしらのモデルからか、独自の形状を開眼したと云えるかもしれない。

 

随分昔、京都の鋏が欲しくて40年ほど前大徳寺付近の金物屋で購入した鋏が今回の京型2号に似ていて、安広製の物とは寸胴部分が幅広くできていた事を思い出す。そう思うと京鋏型についてはかなり昔から流通されていたのかもしれない。しかも自慢げに持っていた鋏は、座金の菊座素材感が細くクルクルまわる鋏、そう思うとあれはもしかしたら問屋品だったのかもしれない。

 

しかし、花吹雪京型「2号」は太丸つくりで肩部分は口清に比べやや巾広で打ち辺りが口清タイプになっている。この口清タイプには大覚寺さん、重春さんタイプの中の一つが継承された形状と云える。そして、京都御所で見た京鋏とよく似ていた。

 

芯金構造を除き、これでアゴがなければ形状については口清にかなり近づけられた鋏と云える。製作工程がある程度のマニファクチャでなければ京型1、2号のツル手部分の収まりをみると製作者は異なる工程で作られていると判断できる。今後、この京型2号で「アゴ無し」「丸棒の芯金」で鋏がオーダーできるのであれば是非オーダーしてみたい。

打ち辺り部分に特徴的な京鋏 画像は大覚寺、重春、口清

 

こうしてみると修学院、知恩院といった形状の鋏と資料が無いので重春の鋏3態を基準に判断するしかないがそれと口清の原種からどの様に異なるのか、握り部分の寸胴打ち辺りの曲げ具合で口清タイプかシュッとした堺のタイプになるのが改めて解るのは、手元に祖となる口清があるおかげで比較ができるといえる。

 

画像は打ち辺り部分がややシュッとした形状が特徴的 両安広、中桜吹雪1号

 

結論、今回京型と云われている鋏3丁の形状のうちほんまもん「京津島」については価格を含め独自路線を貫いている。結果これはこれで播州物としてローカル鋏の存在を得たと思います。

 

今回、本家口清の形状を基本に比較したが、やはり気になるのが鋼部分、比較的に鋼の厚みがあるのは重春、安広、大覚寺で口清に於いては新潟産同様薄い仕上げになっている。

 

巻末には京鋏との比較ができる画像を添付しました。其々の特徴をご覧ください。