堺打ち、三吉 両手鋏
2021年4月半ばヤフオクに笹刃、特徴のある木柄の両手鋏を見つけた。
オヤ?
見た限りでは肩が細いので竹差しでは?と
木柄?
竹差しと思われた木柄の両手鋏、これどう見てもオヤっさん(正定)の両手鋏です。
確認の為に水落親方(河内長野鋏鍛治)に再度確認…….。
間違いないですね。これ、オヤっさんの若い頃の両手鋏です。
という事で落札。
到着後の確認
刻印は堺打ち三吉とあります。
三吉.......。坂田.......
堺....... 三吉。
なんとなくゴロが…….。
坂田三吉
wikipediaには堺県大鳥郡舳松村(現・大阪府堺市堺区協和町)で出生。生業の草履表づくりを手伝いながら、将棋を覚える。
(・_・D フムフム、
誕生地舳松村は仁徳天皇陵に近く、鍛冶屋町にもごく近い地域で坂田三吉の馴染み深い場所と言えます。
堺打、三吉。なんとも堺らしい刻印です。
私らの父親の世代、大正から昭和初期の人であればおのずと連想する「王将」
今だと餃子の「王将」かもしれませんが、父親世代では村田英雄の「王将」と 阪東妻三郎、阪妻の「王将」映画でしょうか。
阪妻、映画「王将」
タイムリーなニュースでは阪妻の子息田村三兄弟の田村正和さんが先日お亡くなりになりましたね。77歳、ご冥福をお祈りいたします。
今や将棋界は藤井聡太七段の活躍で将棋界の追い風になり、将棋を指す子どもたちも増えたと言われています。
そして130年前にも将棋の虜になった少年、坂田三吉。
その反骨の棋士、坂田三吉。
そんな坂田三吉を連想させる堺打ち三吉。
今回は、この両手鋏をさっそく水落親方に相談して、修理と共に柄の交換をお願いしました。
何枚かの画像を送り、ご意見をいただいた。
見立てとおり、おそらく竹差しの竹がダメになったので木柄に交換している。
裏スキがとっても上手いですね。
その際に木柄の差し込み口が広くボンド止め、肩が細いのと差し込みが浅くてアンバランス。
研ぎはしっかり砥いでいます。
そこでチョットそそるのは佐助さんところの鉄砲型
O釜さん所持の鉄砲型
前回自身で交換した柄栃(600g)、今回の交換柄は樫の鎌柄、「藤原産業 厚鎌・木鎌の柄 No.15 364円/本」カツラは18㎜銅管、一般的には720gから750gで樫鎌柄の差から160gほど重い。勿論竹差しに比べると120g軽い。
文章だとわかりにくいので
トチの木鎌柄600g 元々薄鎌の柄なので軽くできています。
竹差し640g
樫鎌柄760g
あれ?パク〇じゃないすか…….。
其々重さに関しては刈る対象物によっても異なるし、軽すぎて自重がないために安定しない場合もある。
なので相対的にバランスがよいかどうかで判断すべきかと思います。
大事なのは使いやすくカスタムするスピリッツが大事、何よりも道具の自分感が増し、愛着度は高くなる。
関西に比べ関東の職人はあまり道具をいじる人は少ないかもしれません。
当時を思い起こすと、とくに刈込鋏についてもそのままの長さで自身が慣れるるまで使いこなし、柄を切って使う発想は現役当時(40年前)あまりありませんでした。
恐らく誰でも手入れの苦手な樹種があると思います。自身どちらかというと刈込は得意な方ではありませんでした。
何だか刈込鋏がやたら重かった様な気がします。
気持ちの重さも加わっていたのでしょうか…….。
若い頃、思う様に刈込鋏が使えず微妙にトラ狩りになるのがどうしても許せなくていつまでも気にしていた自分がいました。どうも両手鋏が安定しないことが原因だったと思いますね。
ここ、このときですよ思い出したのは、
子供の頃T木という友達がいて、生意気にもヴァイオリン弾いている彼曰く、円弧では音律が出せないので上腕二頭筋を真っ直ぐ引き下ろすのだと子供ながらに教授されたのを思い出した。
なるほどー、安定した引き下ろしと同じく、上腕二頭筋をブレない事がコツであると悟った。しかも正確に無駄なく確実に枝葉をとらえる事が大事。(笑)
若いうちは上手く刈れる事を誇っていましたが、ある時を境に一変した経験。それは自身が手入をする事でその庭の景色をつくっている事に目覚める時。
あなたにもあるでしょう?
手入は庭作りとおなじなのだと気が付く瞬間
動作はなんとなく武道に近いかもしれない。毎日携わることで脚立の掛け位置、間合いの取り方を体得し、克服できることを学ぶ。
いま思うと、スポーツの様だった。
当時そんな自分がいて今があります。
そんな事でこんな風に仕上がり、水落親方ありがとうございました。
そうそう坂田三吉かなりの負けず嫌いの様ですね。
彼の負けず嫌いは徹底しており、人生に於ける生き様を資質に変換し、彼の負けず嫌いを糧として品格形成していったといってもよいようです。
ネットからの引用になりますが、坂田三吉の次の様なことばを見つけました。
「悔しさを忘れたら、あかん。人間をいちばん、成長させるんは、負けたときの悔しさや」
還暦を過ぎてもハングリーなこころ大事かもしれません。