2024年春の「全国人民代表会議」が始まった 2024/3/5 23:00
中国の「全国人民代表会議」が3月5日に開幕した。1週間ほど続く予定である。法律改正や予算を決める会議であり我が国の国会に該当する。省や自治区、軍などの代表(約3000人)が一堂に会する。冒頭李強首相は
「2024年の成長目標を5%程度に設定する」
とし
「国の発展モデルを転換させ、構造調整を進め、質を改善して成果を高める必要がある」と語 った。
上の内容はロイターからの引用であるが、5日の産経新聞は、婁勤倹報道官が
「全人代の閉幕後に李強首相は記者会見を開かない」
と発言したことに注目して見出しを打っていた。
これはすぐに推測が付く。2024年1月のダボス会議で、李強は2023年の経済成長率が5.2%と演説したが、その後上海総合株価指数や香港株式市場はどんどん値を下げた。2023年の経済成長率5,2%と、2024年の5%程度の成長率について、内外の記者たちから質問が出ることは必至である。
株価の暴落が何を意味しているか、中共政府も薄々感づいている。だから「国の発展モデルを転換させ、構造調整を進める必要がある」と決意表明したのである。しかし、具体的な政策については言及されなかった。しかも、「全人代」の閉幕後には記者会見も開かないと宣言した。
なぜか?
推測だが、中央政府は全国的な不動産不況と消費の落ち込み、外資の引き上げ等の実態を把握しているのであるが、それに対する具体の対策を決め切れていないのである。
「中央委員会全体会議(約200名)」というものがある。通常は「全国人民代表会議」の前に開催される。例年12月中に開催されてきた。翌年の予算や経済政策等を「全人代」に上げる前に検討し、承認してきた。「三中全会」は今年中に開催されると思われていた。しかし、年が明けてもまだ開催されていない。
スローガンは掲げてみたものの、「全国人民代表会議」で法案として提出できるほどに具体策が煮詰まっていないのである。不動産開発というこれまでの成長モデルから脱却しなければならないということはわかっているが、新しい成長モデルを確定できていないのである。
すぐ思いつくのが、今話題のEV車への全力投球であろう。BYDを代表とするEV車への全振りで大丈夫かどうか、これを議論していると思う。これを決め兼ねているのである。
だから、閉幕後の記者会見も行わないとあらかじめ宣言した。