54兆元の増刷 | 日記「ウクライナ人の戦い」 Masanori Yamato

日記「ウクライナ人の戦い」 Masanori Yamato

「ウクライナ戦争」を描くことで、プーチンとは何者なのかを書きたい。

中国経済はどうなっているんだ?  2024/2/21  2:00

 

下の写真はYoutube動画【役情最前線】からのコピーである。2024年1月に発表された国家統計局のデータである。

 

1枚目の写真は、2021年末から2023年末までの中国国内におけるM2の残高を示している。M2とは現金や預金残高、金融商品などを把握した総称であるが、注目すべきは2年間に54兆元(1080兆円)も増えていることである。

 

なぜ中国人民銀行はかくも多くの人民元を刷ったのか。それは、2枚目の写真にあるように下落傾向にある消費者物価を引き上げるためである。中共政府はここ数年インフレ政策をとってきた。

 

ところが、2024年1月に発表されたCPIは前年比で-0.8%下がっており、下落は4か月連続である。統計を取り始めてここ14年間で最大の下げ幅を記録したという。実際の下落率はもっと大きいかもしれない。PPI(卸売物価指数)は14か月連続でマイナスが続いている。

 

中共政府のインフレ政策は功を奏していない。消費者物価も卸売物価も下がり続けているということは、中国経済はデフレに突入したと見ていいとアナリストは解説している。

 

では、この54兆元はどこにいったのか?1080兆円というのは、2024年度の日本の一般会計の国家予算が112兆円だからほぼ10倍ということになる。

 

これだけ増刷すれば、国有銀行はじめ地方銀行の資金量は潤沢である。当然に貸出額に余裕ができる。人民に行き渡っていいはずである。しかし、物価は下がり続けている。消費に回っていないのである。

 

借り手がないからではないだろう。銀行は貸したいけれども、融資条件がある。融資条件をクリアしないと銀行も貸す訳にはいかない。融資できる条件が整っている企業や個人が少ないのであろう。ということは、増刷した人民元は人民には行き渡らず、金融機関の中で空回りしているということになる。

 

この莫大な資金の使い道があとひとつ考えられる。それは、各自治体が抱えている膨大な債務の返済に充てるための資金として活用する案である。地方政府の財政は極端に悪化している。公務員の給与が数か月も支払われていないという。各地方政府の借金は膨大である。債権者は地方の銀行であり、信託会社や保険会社であり、俗にいうところのシャドーバンキングと呼ばれる金融機関である。おそらく、中央政府は地方政府の債務の肩代わり資金に充てるつもりで莫大な人民元を刷ったのであろうと思う。

 

2023年度の外国資本の投資額は2022年比で80%も減少したと発表されている。外資がどんどん引き上げているのである。工場を閉鎖し、マンションを売り、株式を売っているのである。

 

では、なぜこれほど中国から外資が逃げるのか?それは、一重に中国経済の先行きに不安を感じているからである。加えて、「反スパイ防止改正法」などの実施を見て、世界が「中国は信頼できない国だ」と判断しているからである。

 

写真は【役情最前線】から