脱炭素社会を目指すという理念 | 日記「ウクライナ人の戦い」 Masanori Yamato

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「ウクライナ戦争」を描くことで、プーチンとは何者なのかを書きたい。

 

脱炭素社会を目指すという理念  2024/1/15   18:00

 

カーボンニュートラルという現代用語が社会を賑わしている。地球温暖化の元凶であるCO2を削減しようという取り組みである。車の排気ガスを削減するとともに、森林などによる「吸収量」を差し引くことで、温室効果ガスを実質的にゼロにする取り組みを指していう。

 

この理念の具体的な取り組みがEV車の開発促進である。このEV車の製造と販売がいま世界規模で展開されている。CO2を排出さないクリーンな自動車ということで、2035年までにガソリンエンジン車を完全に排除するという理想を各国が定めた。ディーゼルはもとより、ハイブリッドも禁止するというものである。

 

自動車だけでなく、企業の生産活動におけるCO2まで含めたカーボンニュートラルの社会実現に関しては、日本は2050年を達成目標としている。

 

2035年を目標に完全EV化を目指すといって、いま各国は一斉にEV車の製造に乗り出している。その筆頭が中国である。世界のEV生産量の約6割が中国で生産されている。そして、その大部分が国内で販売されているのだが、一部は欧米に輸出されている。

 

一部がアメリカとEU諸国に輸出されているのだが、2035年までに自動車における排気ガスを完全に規制すると決めながら、米国もEUも、中国産のEVのこれ以上の輸出を阻止する構えである。対抗措置を考えている。

 

アメリカは2022/8/26に「インフレ抑制法(通称IRA法)」を発効させた。その中に、EVに関する項目がある。EV車に対する実質規制である。税控除等の要件を厳しく書いている。税控除を受けることができるEV車とは

 

① 車両の組み立てが北米で行われていること。

② 電池材料の重要鉱物の調達価格の40%が、自由貿易協定を結ぶ国で採掘されているか、あるいは生成されているか。

③ 廃棄バッテリーが北米でリサイクルされていること、もしくは電池用部品の50%が北米で製造されていること

 

これでは、テスラやフォード以外のEV車は税控除を受けることはできない。しかし、税控除を受けることを期待しないならば、アメリカ人は安い中国EV車を購入することはできる。

 

日本ではどうなっているのか。「エコカー補助金」という呼び名で実施されている。2014/1/14更新の資料では

 

①    EV車                             42万円 (上限)

②    PHV                          22

③    FCV(燃料電池自動車)                 224

④    CDV(クリーンディーゼル)              15

手続きは、新車登録したのち補助金申請を行う。2ヶ月程度で決定通知が届く。それから1週間ほどで銀行口座に補助金が振り込まれる。中国や韓国のEV車を特別排除してはいない。しかし、ほとんど売れていない模様である。

 

EUの補助金制度は勉強していない。各国で色々のようである。ノルウエーなどは手厚い補助制度が用意されているようだ。国内のEV利用率が7割を超えているという。そのノルウエーで最近はトヨタのハイブリッドカーが一番の売れ行きとなっているというニュースを聴いた。

 

EU委員会のフォン・デア・ライエン委員長が、中共政府から補助金が出ている中国産EV車輛に対抗するため、各国が関税等の報復措置を近々決めるだろうという見解を述べたことを去年の12月に聞いた。

 

いまEVに関して、そのCO2問題で、本当にカーボンニュートラル社会実現に貢献しているのかという根本的な議論が沸き起こっている。その生産過程と廃棄の問題で環境保護に寄与しているのかという本質的な疑惑が生じつつある。電力の生産における石油エネルギーの消費を無視したEV礼賛ではないかと非難されている。

 

同時に、ここ最近、テスラのEVも含めてだが、中国産EV車輛の性能の技術不足がやり玉に上がってきた。リチウムイオンバッテリーが冬場に弱いため走行距離が極端に落ちること、充電時間が長いことと充電スタンドが整っていないこと、バッテリーが突然火を噴く事例が報告されていること等、各国政府に対しては、EVの技術不足のまま移行を急ぎ過ぎているのではないかとの不満がここにきて噴出している。

 

(以上、自身の認識のために)