「寝ながら学べる構造主義」 内田 樹
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●構造主義とはひとことで言ってしまえば、次のような考え方のことです。
私たちはつねにある時代、ある地域、ある社会集団に属しており、その条件が私たちのものの考え方、感じ方、考え方を基本的なところで決定している。だから、私たちは自分が思っているほど、自由に、あるいは主体的にものを見ているわけではない。むしろ私たちはほとんどの場合、自分の属する社会集団が受け容れたものだけを選択的に「見せられ」「感じさせられ」「考えさせられている」。そして、自分の属する社会集団が無意識的に排除してしまったものは、そもそも私たちの視界に入ることがなく、それゆえ、私たちの感受性に触れることも、私たちの思索の主題となることもない。(P.25)
私たちは自分では判断や行動の「自律的な主体」であると信じているけれども、実は、その自由や自律性はかなり限定的なものである、という事実を徹底的に掘り下げたことが構造主義という方法の功績なのです。(P.25)
アフガンの戦争について「アメリカ人から見える景色」と「アフガン人から見える景色」はまったく別のものだからだ、ということは私たちにとって、いまや「常識」です。
しかし、この常識はたいへん「若い常識」なのです。
☆構造主義の入門書として、構造主義とは何であるかを端的に要約した部分。本書は構造主義ををわかりやすく解説することを目的とする書であり、本書のこの記述部分より後は、入門書として難解にならないように簡潔に各人の思想が述べられている。本書を読み終わると、確かに今では私たちの「常識」となっている考え方、感じ方は構造主義の影響を強く受けている(あるいは、構造主義的な切り口を持っている)のだなぁと強く感じる。
●レヴィ=ストロースは要するに「みんな仲良くしようね」と言っており、バルトは「ことばづかいで人は決まる」と言っており、ラカンは「大人になれよ」と言っており、フーコーは「私はバカが嫌いだ」と言っているのでした。
☆本書はまず構造主義前史として、マルクス、フロイト、ニーチェの思想について触れたあと、第2章で構造主義の始祖として、ソシュールと『一般言語学講座』を著述し、第3章「四銃士活躍す」でフーコーと系譜学的思考、バルトと「零度の記号」、レヴィ=ストロースと終わりなき贈与、ラカンと分析的対話という流れで書かれている。
もちろん構造主義を語るには他にもたくさん語らなければならない思想家、哲学者がいるのかもしれないが、入門書として構造主義の概要をつかみたい場合に本書はその導入として役に立つ。特に本格的に構造主義を理解しようと思えば、かなり難解な書籍に挑戦しなければいけなくなるので、本書のように入門書として、まず全体像を把握できるようにすることは必要だと思われる。そういった意味で、最初に本書を読んだ意味は大きかったのかなと思う。



