「AIエージェント」という言葉を、ニュースやSNSで見かける頻度が急に増えています。
ChatGPTのようなチャット型AIはすでに使い慣れているのに、この新しい単語が指すものが何なのか?これまでのAIと何が違うのか?
説明を求められるとちょっと言葉に詰まったりしますよね。
この言葉が分かりにくい背景には、AI技術のフェーズそのものが変わりつつあるという事情があって、これまでの生成AIは、こちらが投げた質問や指示に対して、一つの答えを返して終わるという「一問一答」の形が基本でした。
それに対しAIエージェントは、与えられた目標そのものを分解し、必要な手順を自分で組み立て、外部のツールやAPIを実行しながら、結果を評価してまた次の手を打つという一連の流れを自律的に繰り返すようになっています。
つまり、応答するAIから、動くAIへと移行していることが、既存のイメージとの間にずれを生んでいるんですね。
このずれは、しばしば「指示さえ出せば、人間の代わりにあらゆる業務を全自動でこなしてくれる汎用ロボット」というイメージへとつながりやすく、これは分からなくもない見方でもあり、実際に、AIエージェントは指示分解や外部実行を自律的に行うため、従来のチャットAIよりも「動いてくれる」感覚は強い。
しかし、目標達成のために自律的に処理を繰り返す仕組みであることと、あらゆる業務を無条件に任せられることは、同じ意味ではないですし、ここを混同すると、実際に使い始めたときの期待と現実の間にギャップが生まれ、苦労することになります。
AIエージェントを構成する要素を見ると、この違いがもう少し具体的になるのですが、AIエージェントは与えられたプロンプトや目標を、実行可能な単位へ自動的に分解する機能があり、さらに検索エンジンや社内API、各種ツールを呼び出し、実際の作業を代行する仕組みが組み込まれています。
さらに、それまでのやり取りや実行結果をメモリとして保持し、文脈を踏まえた判断を続けられるようになっていて、この三つが組み合わさることで、単発の応答ではなく、複数ステップにまたがるタスクの遂行が可能になっているんです。
たとえば、複数のニュースサイトから最新情報を検索し、内容を要約したうえでスプレッドシートへ自動的に出力するよう指示するのであれば、検索、要約、出力という複数の工程を一つの指示から自律的にこなす動きが求められます。
あるいは、プログラムのバグ修正において、該当コードの読み込みから修正、テスト実行までを一つの指示で完遂させようとする場面もあるでしょう。
どちらも、単一の質問に単一の答えを返すだけでは成立しない種類の作業であり、AIエージェントが従来の生成AIと異なる働き方をする理由がここにあります。
一方で、この自律性には限界も伴い、処理の途中でハルシネーションや誤った判断が起きる可能性はありますし、完全に放置して運用することは現実的ではありません。
人間が要所で結果を確認する、いわゆるHuman-in-the-loopの仕組みが前提になるでしょうし、加えて、外部ツールの呼び出しや処理のループが増えるほど、API利用コストや処理時間も比例して膨らみやすく、自律性が高いということは、そのまま管理の手間が減るということとは限らないんです。
こうして見ると、AIエージェントかどうかを見極める軸は「一括の回答で完結する処理か、それとも段階的な処理や外部実行を伴う処理か」という点に考える必要があり、その都度、人間によるリアルタイムなフィードバックを前提とするのか、事前に設定したタスクをある程度自律的に走り切らせたいのかということまで考えなければなりません。
さらに、社内で使っているAPIやツールとの連携環境がどこまで整っているかによって、実際にどこまで任せられるかは変わってくるでしょうし、この技術の定義自体はまだ発展の途中にあり、早急な決定も難しい。
自社の業務やこれから触れるツールについて考えるときは、まずどの作業が一問一答で完結し、どの作業が段階的な処理や外部実行を必要としているのかを、手元のタスクに照らして分けて見ることから始めてみましょう。
