ふだん私たちは、スマホやパソコンの時計を何気なく見て暮らしていますよね。
でも、その大もとになっている「世界共通の1秒の長さ」が、63年ぶりに見直されようとしている、と聞くと少しびっくりしませんか。
これまでの1秒は、「セシウム」という原子を使った特別な時計を基準に決められてきました。
ただ、科学の進歩によって、もっとずっと正確に時間を測れる新しい時計が登場していていて、その1つが、日本で生まれた「光格子時計」と呼ばれるもの。
名前は難しいのですが、イメージとしては、レーザー光でつくった細かい棚のような枠の中に原子を1つずつ並べて、その原子がビクビクと振動するリズムを、ものすごく細かく数える時計だと思ってください。
この時計は、なんと「100億年に1秒狂うかどうか」というレベルの正確さがあるとされ、地球の年齢と同じぐらいの時間がたっても、ようやく1秒ズレるかどうか、という感覚のようですね。
島津製作所は、この光格子時計を世界で初めて製品としてつくり、小さくして運べるようにしました。
生活はどう変わる?
では、そんなに正確な時間があって、私たちの生活はどう変わるのでしょうか。
たとえば、インターネットの世界では、たくさんの機器が「今何時か」を共有しながらデータをやりとりしていて、この時計が使えるようになると、その「今何時か」がもっとピタッとそろうので、通信の遅れが減ったり、ムダが少なくなったりすると期待されています。
また、株や為替の自動売買では、ほんのわずかな時間差が大きなお金の差になりますから、そこで使う「何時何分何秒に取引したか」という記録が、より厳密で信頼できるものになっていきます。
身近な例に置きかえると、カメラで同じ瞬間を別々の角度から撮る時、シャッターのタイミングがぴったりそろっていると、あとで立体的に再現しやすくなりますよね。
社会全体のシステムでも、それと似たことが起きていて、電気や交通、通信など、いろいろな仕組みの「タイミング」がそろうことで、見えないところでトラブルが減り、サービスの質が上がっていきます。
もちろん、世界の標準を変えるには、各国の研究者や機関が納得するだけのデータと議論が必要で、日本の時計が最終的な基準として選ばれるのか、それとも他の方式と組み合わせて使われるのかは、まだこれから決まります。
それでも、「1秒」という当たり前のものを、もう一度見つめ直す大きな節目に、私たちは立ち会おうとしています。
あなたは、「1秒の定義が変わる」と聞いて、ワクワクしますか?それとも、少し不安を感じるでしょうか。
ふだん意識しない時間の仕組みについて、ちょっと想像してみるきっかけになればおもしろいですね。


