<慶應義塾大学医学部の傾向と対策>

【1】総論

第一次試験は例年2/19、理科→(昼休み)→数学→英語の順で行われる。私立医学部前期試験の一次試験の中では一番最後に実施されるため、できればこの日までに最終合格(あるいは最終合格濃厚な補欠番号)を1校でいいのでもらっておくと精神的に楽になるが、逆の場合の精神的な負荷は言うまでもない。私自身(塾長)の経験としても日本医科の正規合格が“御守り”となったと思う。

最終合格に何点必要か?という質問が散見されるが、2022年度は一次試験の最低点が308点、同年に繰り上げ合格となった塾生の自己採点は330点程度であったことを鑑みると“一次試験+20点”というのを1つの目安とすればよいのではないだろうか。また2022年度は医学部長が変更(天谷先生→金井先生)となって初年度の入試であったが、2浪以上の合格者は3名と、多浪・再受験生には厳しい合否判定であった可能性は否定できない。

https://www.keio.ac.jp/ja/admissions/docs/toukei2022.pdf

 

 

 

【2】一次試験対策

 得点開示などの結果から、

・数学や理科は得点率の低い小問にかなりの配点が振られている

・英語も記述問題の配点が高いが、採点は丁寧で適切

の2点がわかっている。また上述した理由から「英語85・数学85・理科160」と、理科で英数をカバーするといった作戦も非現実的である。

以上を踏まえると、英数でそれぞれ100点以上取ることが合格に必要と考えて良いだろう。

以下、科目別に傾向・対策を示す。

 

(1) 英語

大問構成は長文2〜3題+自由英作文。小問ごとにみていくと、前置詞や動詞の穴埋め、内容合致、和訳、和文英訳、判別不能を含む正誤判定問題などが代表的。小問の絶対数がかなり多いことも特徴であるが、逆にいうと1つ1つの設問の配点は大きくないと言える(実際に穴埋めは1個1点、内容合致も2〜3点、正誤判定は1個2点程度)。そのため記号問題においては迷った場合は1問に時間をかけ過ぎず、その分の時間を記述式に回すことが重要となってくる。記述問題は主に内容説明問題に一部難しい問題も含まれるが、基本的には標準的な難易度の設問が中心である。それぞれの設問を1つ1つの要素に還元して考えていくと、基本的で有名な文法事項や熟語を知っているかが問われていたり、大まかにあらすじが追えているかが問われていたりと、『英語の実力が十分な受験生からすると易しい』と感じる出題がなされている。自由英作文は年度によっては題意の取り違いを誘発しかねない表現で出題される(2021、2017、2015)ことに注意。

 

(2) 数学

小問集合(30点)+数列・確率融合問題(40点)+他(40点x2)の大問構成。

難しい年度(2015、2017、2019、2021)と比較的易しい年度(2016、2018、2020、2022)が交互にくることも特徴的(おそらく数学の教員が2名いるので作問のチーフを交互に担当している?)。私含め実際の合格者の数学の出来を振り返ると、易化年度においては小問集合と確率で満点を確保し、さらに残りの大問のうち1問は満点近く得点していたという例が多い。一方難化年度においては小問集合と確率で満点、残り2つの問題で空欄の半分程度を埋めて20点、合計90点はなんとかもぎ取ったというケースが大半である。

確率の代わりにデータの分析と数列の融合問題が出題された2021年度は一次試験合格最低点が251点と前年比で50点以上下がった。他の科目の難易度を加味したとしても、確率で満点を確保することが重要であると言えるだろう。難化年度で75点程度、易化年度で85点程度であれば他科目次第では挽回可能であることも考えると、まずはどの分野から出題されても小問集合や後半2問の前半の設問には正解できる程度の基礎力を充実させること、確率は何が出ても満点が取れる力を養うことの2点が重要と言えるだろう。前者には一対一の対応の例題高速で解くことが、後者には過去問の確率の部分を周回することがそれぞれ有効である。

 

 

(3) 理科

①   物理

小問集合+大問2つの3問構成であることが多い。例年後半の2問のうち1問はどこかで見覚えのある問題に似てる(けど少し難しい)問題、もう1問は生まれて初めて見る問題が出題される。小問集合では教科書の隅に載っているような知識や、出題頻度の低い原子物理の分野からの出題がなされたり、全く新しい設定の問題に基本法則で立ち向かうことが要求されたりと、全体的に難易度が高いのが特徴。過去の得点開示のデータから難易度の高い設問の方が配点が高くなる傾向は見られるものの、傾斜のつけ方としては数学や化学と比べると穏やかであるということがわかっている。小問集合にかなりの難問が含まれることも少なくないので、試験場ではまずは全体を俯瞰して解ける問題を探し、6割程度を確保することが重要である。対策としてはまずは『医学部受験生であれば誰もが解けなければならない重要問題集レベルの問題を他人に解説できるようになること』を通じて、典型問題(に似ている問題)で得点を稼げるようになることから始めると良い。原子物理の範囲は過去問の類題が度々出題されるので、数学の確率同様、過去問の反復が有効である。細やかな知識に関しては、正答率を鑑みると入試直前に教科書で確認する程度で十分かもしれない。

 

②   化学

  大問構成や出題内容は年度ごとに変化するものの、設問自体の難易度が慶應医学部の受験生のレベルで考えれば抑えめであると言える。どの分野においても『医学部の化学』が抜け漏れなく全て解ける程度で対応可。しかしながら得点開示のデータ、および『平均点の差による統計的処置を行わなかった』という大学側のアナウンスから、煩雑な計算問題や論述問題のみならず記号選択問題であれ、些細な語句の穴埋めであれ、正答率の低い設問にかなりの配点が例年振られていることが判明している。実際に、一般の模擬試験(駿台全国模試や全統記述模試)のような採点基準で8割程度の出来であっても、実際の開示得点では6割台後半というケースが散見される。化学は設問の難易度は高くはないが、化学で得点を稼ぐことは不可能に近いということを肝に銘じた上で、理科全体として作戦を練ることが重要である。

 

③   生物

  空欄補充などではかなり基本的な用語や概念が問われるため、教科書や参考書に出てきた重要な語句・概念は確実に得点したい。例年論述問題の割合が非常に多く、物理や化学同様こちらにかなりの配点が振られていることと考えられる。また過去問を見ると高校範囲を逸脱したように見える考察問題も少なくないが、実際に高度な知識が要求されるものは少なく、大半が論理的思考力で解決できるものである(ただし難易度はかなり高い)。まずは重要問題集や『大森徹の最強講義117講生物』などで難関大生物での典型的なテーマを抑えた上で、過去問を周回し、見慣れないテーマの考察問題への自分なりの対処法を身につけていくと良いだろう。

 

長くなりました😅

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