幸せになるのに遅すぎることはない
7月26日(土)
「幸福な人生」に必要なのは、お金でも名声でもない!長年の研究で、幸せになるためのカギは「よい人間関係」であり、その育み方を説いたのが「グッド・ライフ」(ロバート・ウォールデンガー/マーク・シュルツ著、児島修訳、辰巳出版、2023年発行)。
著者ロバート・ウォールデンガーはハーバード大学医学大学院・精神医学教授、「ハーバード成人発達研究」の現責任者。マーク・シュルツは副責任者で、プリンマー大学心理学教授。
人の生き方に関する史上最長(1938年から)の縦断研究プロジェクト、「ハーバード成人発達研究」によると、健康と幸福を維持する決定的な因子は、社会的成功や運動慣習、食生活ではなく、「友好的な人間関係を育む」ことだというのが本書の結論です。
人間は心の通う関係が必要不可欠
誰かを愛しく思う時に身体で感じる感覚、ぬくもりと安らぎを思い浮かべてほしい。「人間には心の通う関係が必要不可欠だ」という言葉はきれいごとではない。数々の科学研究が繰り返し伝えてきた事実があるーー人間には栄養、運動、仲間が必要なのだ。
人間関係の実利的価値は、近代以降、正当に評価されていない。人間関係は人生の基礎であり、人間の行動と存在の中心をなすものである。「ソーシャル・フィットネス」は、人間関係の健全度を示す言葉である。人間関係は筋肉と同じで、何もしなければ衰えていく。
「ソーシャル・フィットネス」を高めるには、人間関係の振り返りが必要で、自分が幸せをもたらすつながりを大切にしているかどうか、素直に見直す必要がある。自分をとりまく人間関係を捉えるには、まず自分の人生には誰がいるかを考えること。
よくも悪くも自分に影響を与えている人をリストアップする。次に「これらの人間関係の特徴は何か」を、交流の「質」と「頻度」の両面から把握する。人間関係全体をどう感じているかは、他者から何を受け取り、何を与えているかに直結している。
自分に大きな影響を与えている人間関係から、自分が大事だと思う支えが得られているかどうかを、下記の項目で振り返ってほしい。
・自分が新しいことに挑戦する時、人生の目標を追い求める時に応援してくれる人は?
・落ち込んでいる時に電話して、自分の気持ち率直に話せる相手は?
・一緒にいるとリラックスして心が落ち着き、絆が感じられる人は?
こうした振り返りを行うだけでも、自分が目指したい方向が見えてくる。しかし、それが分かっていても、最初の第一歩を踏み出すのは容易ではない。だが、一歩を踏み出すには、まず順調な関係に注目し、相手に心からの感謝を伝え、その理由も伝えよう。
人間関係で最も価値ある資産は「注意」と「気配り」
80代の夫婦にこれまでの人生を振り返ってもらった。「子どもたちに十分な注意を払ってあげられなかった」「重要でないことに時間を費やしすぎてしまった」、という思いを抱く人が多かった。時間と注意には言葉が意味するものを超える、かけがえのない価値がある。
さて人間関係で最も価値ある資産は「注意」と「気配り」である。相手に注意を向け、気を配ることは、今の瞬間を生きている相手を尊重し敬意を払うことである。注意を向けることは「愛の最も基本的な形」だと言われるほどである。
大切な人に対して十分な注意を向けているかどうかを確認するには、自分自身をよく観察する必要がある。ここでは簡単な方法を3つ紹介しよう。1つ目は、人生を豊かにしてくれる人間関係を1つか2つ思い浮かべ、相手に今まで以上の注意を向けることである。
2つ目は、1日の過ごし方を少し変えることである。特に大切な人と一緒にいる時には、注意が途切れない時間をつくること。夕食にスマホを持ち込まない。あるいは決まった相手と毎週または毎月、定期的に会う時間をつくる。
3つ目は、誰かと過ごす時には好奇心を忘れないこと。よく知っている相手には特別に意識してみよう。「今日はどうだった?」という会話を終わらせず、真摯な関心を寄せることである。自分が将来たどりつきたい場所を確認すれば、最も注意を向ける相手も見えてくる。(T OPPOINTから抜粋)