「全一学とは何か」

 

6月24日(月)

 

森信三先生提唱の「全一学」(日本的哲学)を理解するため、「全一学とは何か」をほぼ原文のまま紹介しています。本日はわが国が大自然から享受している四季の交替循環は、世界に比類なき最大の恩恵だとしています。

 

あわせて人類が生み出した世界観体系で最も特色ある顕著なものの一つは、ヘーゲルによって一応完成された弁証法的世界観であると述べています。

 

・今この点が切実に痛感させられるのは、一日を単位とする昼夜の交替であり、今一つは一年を周期として描かれる四季の推移交替だといってよい。もっとも四季の循環については、わが国は世界にも比類なきほどに典型的な四季の推移循環が観ぜられる。

 

世界広しといえどもこれほど恵まれた国はないといえよう。現にインドその他の如く一年が雨期と乾期に二大分されている国々が少なくない有様である。

 

・如上わが国における四季の交替循環が文字通り等分に行われているということは、同じく地球の表面上に位置しながら、その置かれている緯度経度の位置、ならびにその他海洋上の一連の島々より成立していることなど、あらゆる所与の条件からもたらされる天与所与といってよかろう。

 

恐らくはわが国が大自然から享受している最大の恩恵といってよいであろう。何となれば、わが国を巡る宇宙的生命の循環が、あらゆる面から見て調和的に整っているからである。

 

・人類がその思想史上、現在までに生み出した世界観体系のうち、最も特色ある顕著なものが、少なくとも三種は考えられる。その中の一つはヘーゲルによって一応完成された弁証法的世界観である。

 

これは「三度目が定の日」という諺のもつ真理性の極限的展開ともいうべく、一切の人間的営為はこの定式より免れ得ないのである。したがって、これは何人にも明白極まりない自明の真理といってよい。