「いかに生きるか」の「幻の講話」(一巻)に学ぶ

 

3月14日(木) ホワイトデー。

 

第十九講 旅行について

 

 大意

 

 旅行はその地方への見聞が深まり、世間を知ることにつながります。学生時

 代に国内の主な地方を見ておくことは、他日大いに役立つと考えられます。

 旅行はその人の一生の基盤を形成するとさえいえます。

 

徒歩旅行の持つ意味について一言するとすれば、夏休みに①原則として自分の故里を中心として、三十キロ前後の距離のところ ②できればなるべく夜間に歩くのが面白いと思います。

 

そうすることによって、その人びとには、いわば人間として一つの土台というか、「根」みたいなものができると思うからです。・・・では旅行というものは、どういう意味、価値があるのでしょうか。

 

交通の不便な時代のむかしの人びとは、旅をすることは、大へんなことでしたから、そういう色いろの苦労をすることによって、つぶさに世の辛酸をなめ、人間としてひじょうに鍛えられたようであります。

 

そのお手本が芭蕉の「奥の細道」と呼ばれる旅です。百五十日、距離にして二千四百キロの長旅を歩き通したのです。人は色いろの地方を見聞することで、「世間」というコトバの内容が広められたり、深められたりするのです。

 

旅行の費用は親ごさんをわずらわすべきではなく、アルバイトでまかなうこと。アルバイトで教わることころがあり、その苦労の方が旅行そのものより、世の中を知る上で、収穫がより多い場合も少なくありません。