「たねまき文庫」の「礼を正す」⑩
5月15日(火)京都葵祭。
「食」について森信三先生「不尽片言」(不尽叢書)から抜粋します。
32. わたしが玄米食をしているのは、日本人としての「正食」であり「食の原
点」だと思うからです。つまりいちばんまともな食物で、結果的には健康
にも良かろうと思います。
33. 玄米食をやっていると味覚が敏感になります。特に野菜の真の味がわかる
ようになります。そのため魚の臭いがプンと鼻につくようになりますね。
そのうえ経済的にも大助かりです。肉はもちろん、魚もほとんどほしくな
くなりますから、副食費などの支出が少なくてすみます。
34. 自炊生活というものは、次々と仕事の手順を考えていかねばならぬもので
す。ご飯とお菜の仕度、そして食べている間にもお茶の用意———と言う具合
に、次々と心を配ってゆかねばなりませんからね。
35. この五年間ほど独居自炊の生活をしてきたわたくしには、「人間の真の自立
には、いざとなれば自分の食事を他人に依頼せずに生きられることに、最下の
現実的基盤がある」ということが分かってきました。
即ち人間はイザとなれば、いつでもたやすく自炊生活をすることができて、
初めて真に自立者といえるということが分かってきたわけです。
しかもこの程度の最下の現実的真理を、八十才にもなってようやく悟り得
たと言うに至っては、何という大迂闊でしょう。