二宮尊徳の「二宮翁夜話」に学ぶ(578)

12月2日(火)

(235)救急の勧業の法①

「翁はさらに語られた。————右の方法は、ただ急場を救うだけの良法ではなく、勧業のためにも良法なのだ。この法を施すというと、一時の困窮が救われるばかりでなく、遊惰の者を自然に勉励に仕向けて、思わず知らず職業を覚えさせる。

習い性となっては弱い者も強くなるし、愚かな者も職業に慣れるし、幼い者もなわをなうことを覚え、わらじを作ることを覚え、そのほか種々のかせぎを覚えて、遊んで徒食する者がなくなる。そうして人々は遊んでいることが恥ずかしく、徒食することが恥ずかしくなって、おのおの精業におもむくようになってくるのだ。」

宝石学は発達してもジュエリー学はない!

山口遼氏(ミキモト元常務、ジェムインターナショナル社長)がWJ(ウオッチ&ジュエリートゥディ)で「自信をもってウソをつく」を連載中しています。

11月15日号で業界の現状を痛烈に批判しています。一考に値すると思いますので原文のまま一部を紹介します。

「宝石を知る人、知識のある人は結構多いでしょう。・・・だけどその知識の多くは、石としての宝石の知識に偏っていて、ジュエリーそのものの知識は逆に少ない。

つまり宝石学は発達していてもジュエリー学は全く無いと言える。それが今の業界の状態ではないでしょうか。だから面白いジュエリーが生まれないのだと思います。

さて、ジュエリーが大好きという人は、宝石業者のなかでどれくらいの比率を占めるのでしょうか。・・・あまり多くないことだけは間違いない。ジュエリーが好きで宝石屋になったというのは初代のところには、まあいると思いますが、二代目、三代目の店や会社になると、かなり疑わしい。

・・・新しく始めた人でも、なんとなく儲かりそうだとか、見よう見まねで始めたとか、社長を見ていたら誰でもできそうだからとか、不純な動機が多いですよ。

ジュエリーを楽しむ人となると、まあ、ほとんどいないでしょうね。全国で見ても10人から20人程度じゃないかと思いますよ。そもそも、あることを楽しむ時には、損得を考えないものですよ。

あまり儲からないとか、場合によっては損をするなと思っても、面白いからやってしまう、それが楽しむことの本質ですよ。もちろん我々は売れてナンボの世界に住んでいる訳ですから、お気軽なことを言うだけですむ訳ではない。

だけど私はこの宝石が好きだとか、このデザイナーを世に送り出したいとか、損得を離れて気にいるものが無い人、それはジュエリーを楽しんでいないと思います。

そんなこと、会社にとって無駄だという思う人は、宝石商にならずにコンビニでもやったら良い。ボォルテールという哲学者が、こう言っています。世の中、無駄なものほど大切である、と。無駄の最たるもの、それが宝石、ジュエリーでしょ、それを商売とするなら、無駄を楽しむことは大事ですよ。

それがまったくないのが業界です。不思議なものでね、お客様というのは、この売り手の差が分かるのですよ、分かると言うよりも感じとれるのです。いったいこの業者は本当にジュエリーが好きでやっているのか、単に金儲けのためにやっているのか・・・」。