二宮尊徳の「二宮翁夜話」に学ぶ(574)

11月26日(水)

(233)飢民救済の実施方法⑨

「これは、わが手に十円の金を損して、向うに五十円・六十円の金を得させ、こちらで百円の金を損して、あちらで四百円・五百円の利益を得させ、その上でその村里に永遠の幸福をのこし、美名をも遺す道なのだ。

恵んで費えないばかりではない、少し恵んで大利益を生じる良法なのだ。はなはだしい困窮を救う方法として、これより良いものはあるまい。以上が、私が実施してことの大略だ。」

きものの生産・流通システムは崩壊!

その背景には数10年にわたる需要減、業績不振があります。ちなみに金額ベースで見るきもの生産のピークは(昭和57年(1982年)の2兆2千万円であり、生産数量では1968年(昭和46年)となっています。

「ブランド」の確立で製販一体化を目指し、需要創造を図っていくのが生産・流通の本筋です。しかし、現実には前売問屋を経由し、全国あちこちの店で販売されているのが実情です。

逆説的に言えば、どこでも同じような商品を生産、販売しているのであり、メーカーのブランド、チャネル戦略は不在に等しいのです。

わずかに都市百貨店だけで流通している商品はあるものの、全体から見ればごく少数のブランド商品に限られています。市場は崩壊に等しく、メーカーの多くはブランド化への熱意を喪失せざるを得ない環境を強いられているといっても過言ではありません。