二宮尊徳の「二宮翁夜話」に学ぶ(562)

11月7日(金)立冬。

(229)飢饉にも草根木皮を用いない③

「だからこれは、人を殺すのに刃物は使わないが杖を使うというたとえと相違がない。深く戒心せねばならぬところだ。ところで、食うものがなければ死は免れない、それをどうするかだ。これも深く考えをめぐらさねばならない。

私はそこで、飢民が救えて、病気も出るおそれのない方法を設け、烏山・谷田部・茂木・下館・小田原などの領村に施した。だからここに贈られたような書物は、私がやってきたこととは違うものだから、私は採らない。」

良き師とはどういう人を言うのでしょうか? 森信三先生は述べています。

「真に卓越した師匠は、愛する子弟に対して最も厳しいのが常である。けだし卓れた師ほど、真理に対して自己を律することを厳しきが故である。」

「最上の師のその子弟に対する態度は、『褒めもせず叱りもせず』という絶対的態度に終始する。」このような真師は今やほとんど絶無といってよいであろう。」

これらの言葉で脳裏をよぎるのはわが師、堂平信也氏(ゆたかや創業者で現会長、「和道経営の会」初代会長)生き方です。自分に厳しく、言葉より行いで商人を貫いた比類なき経営者に違いありません。

果たして座右の銘は、「春風をもって人に接し、秋霜をもって自ら粛(つつ)しむ」(言志後録)。春風の暖かさで人に接し、秋霜の峻厳さで自らの行いを正す。

社長を譲って近年は慈顔に変わりましたが、今なお多くの門下生(社員、OB、修業生、関係者など)から畏れられ慕われ続けています。