二宮尊徳の「二宮翁夜話」に学ぶ(335)

12月4日(水)

(157)非理法権天③

「俗謡に『箱根八里は馬でも越すが、馬でこされぬ*大井川』というのがあるが、そのように、人と人との関係上は、知力でも、弁舌でも、威権でも、通ろうとすれば通れるかもしれないが、天に対してはどうにもしようがない。

この道理を仏教では無門関といっている。それゆえ、平氏も源氏も久しくは栄えず、織田氏も豊臣氏も二代とは続かなかったのだ。だらか、恐れるべきものは天であり、勤めるべきことは天に仕える行いなのだ。」

*原文のまま。普通は「越すに越されぬ」と歌われている。

「理念経営」です。

経営者が50才前後を迎えると、幹部社員の成長により「組織経営」が軌道に乗り、顧客の信頼が質量共に高まっていきます。

第3段階は究極の経営体としての「理念経営」で、トップの経営理念が現場の隅々まで浸透していく状態です。そのためには「現場力強化」として「社員満足」の仕組みが不可欠です。

さらにITの活用で可能となった、顧客1人ひとりのライフスタイルに合わせた対応、すなわち情報提供が顧客満足、顧客共感の輪を拡げていきます。

「理念経営」=「経営理念×社員満足(ES)×顧客満足(CS)」。

この方程式を3つの円で表現します。中心が経営理念、その周りの円が社員満足、そのまた周りの円が顧客満足で表されるのが「理念経営」図です。

「社員満足」(ES)は「現場力の強化」、顧客満足(CS)は「ライフスタイルマーケティング」で検討していく課題です。




「理念経営」の思想的背景として想起されるのが「代表的日本人」(内村鑑三著)の1人で、「わが国陽明学の祖」と呼ばれ、近江聖人と慕われた中江藤樹です。

わずか11才で孔子「大学」の「天子から庶民にいたるまで、人の第一の目的とすべきは生活を正すことにある」に感動したと伝えられます。このときの感動を生涯忘れることはなかったと伝えられています。

藤樹は徳と人格を重視し、逆に学問と知識を軽んじたとのことです。「学者とは、徳によって与えられる名であって、学識によるものではない。学識は学才であって、生まれつき才能をもつ人が、学者になることは困難ではない。」(つづく)