二宮尊徳の「二宮翁夜話」に学ぶ(254)

7月29日(月)

(131)まず労力を譲る②

「私が若い頃、初めて家をも持ったときに、一枚の鍬(くわ)が破損してしまった。隣の家に行って鍬を貸して下さいと言ったら、隣のじいさんは、今この畑を耕して菜をまこうとするところだ、まき終わらねば貸してやれないと。

私は家に帰っても別にする仕事がないから、私がその畑を耕してあげましょうといって耕して、それから菜の種をお出しなさい、ついでに蒔いてあげましょうといって、耕した上に蒔いて、その上で鍬を借りたことがある。」

2052年の時代精神です。

「しかし、190カ国以上が参加した会議で、交渉開始から15年以上たっているにもかかわらず温室効果ガスの排出量削減について合意が得られていない。グローバル化の限界を示しているようだ。

ドーハ・ラウンドで貿易自由化交渉が決裂したことも、それを裏づけている。グロ-バル化の流れは次第に勢いを失うと予想している。・・・貿易は依然として、長期的には労働コストの均等化を進めるだろう。

富裕国から低所得国に生産の場を移し、低所得国の労働コストと可処分所得を引き上げ、富裕国に追いつくのを助ける。しかし、所得が増えると、人々は現状を維持しようとする。

貿易の利益を犠牲にしても、文化的伝統や国民性を守ろうとし始めるのだ。このように、自由貿易には常に敵が存在し、敵にもそれなりの言い分はある。富裕社会に見られる利益至上主義からの乖離も無視できない。」