「四綱領」を今、どのように活かすのか(18)

7月28日(水)、森信三先生の「一日一語」(寺田一清編集)です。

ある時
「悲しみの極みといふもなお足りぬいのちの 果てにみほとに遭ふ」

悲しみの極みとは死にたくなるような辛い思い、しかし生き抜いてこそ救われるのです。そういう時!にならなければ分からない境地です。

さて「従来の人となりを卑しんで耳を貸さない村人たち」。あなたなら岸右衛門に何を語りますか? 尊徳は厳しく諭します。

「お前は前非を改めて上は君のため、下は村民のために尽力しているが、一般の者にその本意が分かるはずはない。」

「大切なことは私欲を去ることである。お前が私欲を去らない限り、人は信用しない。・・・」

そこで尊徳は思いきったやり方を岸右衛門に求めます。中途半端なやり方では村人の信頼を回復するとはできないと考えたからです。

すなわち「貯えておいた金銀、家財道具を差し出して貧民救済の費用にするのだ。また田畑もことごとく売り払ってこれを差し出すがよい。」

「私財を譲り、村民のために力を尽くせば、善行としてこれ以上のものはない。」岸右衛門への忠告は不可能と思えるほどの厳しいで内容です。

しかし岸右衛門は「君子の行いを教えてくださいました」、とこれを実行します。その気になれば不可能はない!、それが至誠です。結果的に村人の信頼され、多くの資産を形成することになります。