10ヶ月間の「まとめ」に代えて(18)

茂木氏がクオリアの参考事例として「おもてなし」「おまかせ」について述べていることはすでにお伝えしました。

「料理屋に入ってカウンターに座る。料理屋の主人が『何にしましょうか』と聞けば、『まかせるよ』と答える」。

お客が何を期待してこの店に来てくれたのか。主人は客の年令や好みなどを考慮しつつ、料理を出していく。「このようなサービスの仕方、あるいは注文の取り方は日本独特」です。

「部屋まで食事が運ばれ、ゆっくり寛いで食べることができる日本旅館は『おもてなし』の美学であり、料理屋の『おまかせ』メニューは日本人ならではの独特の文化」です。

筆者も無心になり、時空に浸ることできるすばらしい日本旅館の経験があります。知る人ぞ知る修善寺旅館の「あさば」さんです。

静かな池に浮かぶ風雅な能舞台、その景観を見ながらの美しい露天風呂、季節に合わせた旬の料理など、すべてが心を和ませてくれます。

「おもてなし」で思い起こすのは、一灯園同人の石川洋先生からお聞きした逸話です。米国の著名な経済学者がある店で一万円札の両替をしたときです。

渡された封筒に入っていたのは千円札が8枚。しかし、よく見ると五百円札が3枚。百円玉が5つ入っていたから、この学者はもうビックリ!したという話。

こんなことは「日本人にしかできない」、と感嘆すると共に日本が高度成長を遂げた真の要因が分かったというのです。これぞまさにクオリア(情感)ならではのサービス感性ではないでしょうか。