再生への「革新プログラム」(11)

なぜ売り上げの拡大を図ることが愚行なのか。その理由は接客、サービスなどの質的低下により顧客の不満に繋がりかねないからです。

これとは逆に「求めずして求められる」売り上げは顧客の信頼の証であり、ますますクチコミ力を高めて客数を拡大する要因になります。

こうした「声なくして客を呼ぶ」店の典型を商売大好きの、仲良しご夫妻が展開する家族専門店に見ることができます。

かってよく見られた店頭光景です。「こんにちは」と店の前を通るおなじみさんの声。「お茶でも飲んで行きませんか」と店内から応答。このコミュニケーションが呉服屋さんの原型です。

時間が許せば親しくお茶を飲みながら雑談していける空間、それが呉服店ならではの温かい「おもてなし」の基本になっていたのです。

「雑談が楽しめる店」「楽しい時間を過ごせる」ことが店舗空間の魅力であり、販売行為はそうした信頼関係をもとに成立していたのです。

このような日本の商人が誇るDNAは今もなお生き続け、潜在的にはいささかも変わることはありません。

だからこそ人気のある家族専門店なら1億円の売り上げは決して難しいことではないのです。「客が客を呼ぶ」自然の仕組みができ上がるからです。

これこそ他業界の人たちには想像も及ばない、まさにきもの、ジュエリーならではの夢のような商いにほかなりません。

いつまでも美しくありたいと願う女性たちにとり、きもの、ジュエリーは自らの心を魅了する、かけがえのない分身にほかならないのです。