独自の経営方針を確立するために(24)

「因+縁=果」の主体的条件に対して、客観的条件は少なくとも十年後の経済・社会環境のマクロな変化、該当するマーケットの方向を洞察しなければなりません。

半年先の分からない激変の時代に、遠い未来予測は全くナンセンスンだという意見もあります。たしかにそうした一面を否定することはできません。

しかし社会変化のマクロ的な方向についてはかなりの精度で予測することが可能です。マーケットの推移は仮説と検証の繰り返しです。

たとえば文明の周期説により、20世紀から21世紀の潮流が「成長」(エネルギー)から「成熟」(エントロピー)へ変わるという予測です。

今やこの点に疑念を抱く人は皆無の筈です。しかもこうした潮流は少なくとも30年前から分かっていたのです。たとえばデニス・ガボールの「成熟社会ー新しい文明の選択」(1973年)です。

経済・社会の成長期に花開くのは新技術に裏付けられた科学文明であり、新しい文化は成熟期に生まれることを歴史は教えてくれます。

西洋に追いつけ、追い越せをテーマに貧困からの脱出を目指して成長を遂げてきたわが国は、オイルショックを境に成長とは対称的な成熟社会への歩みを始めたのです。

モノの充足による際限のない欲望の追求ではなく、自然と共生しながら生活の質を高め、お互いの個性、価値観を尊重していく生活スタイルの登場です。

従来の欧米化をよしとする価値観から、「和の生活スタイル」を大切にしていく新しい潮流が若者たちにも浸透し始めています。「和」は今や新鮮な生活スタイルなのです。