独自の経営方針を確立するために(21)

取引問屋の細尾真生社長(当時専務)はゆたかやさんについて率直な感想を述べています。(「きもの専門店の極致を求めて」1997年弊社刊)。

「・・・敷居をまたぐと何とも言えない緊張感が漂う。思わず姿勢を正す。そうすると、『いらっしゃいませ』という温かい声で迎えられ、自然と家族的な親しみを感じる雰囲気に包まれる」

「店の雰囲気は堂平社長そのものである。厳しさの中に温かい心がある。ゆたかやさんの若い人たちは一生懸命である」

「・・・商売人としての基本、仕事の基本をじっくり学ばなければ商品を販売する資格はない。もっともっと勉強しなければ・・・」。

こうした感じ方の根底には「目配り、気配り、心配り」の「三原則」が現場で生きているからにほかなりません。

さらに「三原則」を徹底できるのは、堂平信也会長の「他に接するに春風をもってし、秋霜をもって自らを律する」(佐藤一斎)という生き方、人生観があります。

春風の和やかさで人に接し、秋霜のような厳しさで自らを慎むという意味です。なるほど同氏ほど自分に対して厳しい方にお目にかかったことはありません。経営トップの生き方、人生観の大切さを教えられます。

さて「何屋さん」の問いかけは、専門店が「おもてなし屋さん」であり、その極致として「三原則」が不可欠であることを示唆されたのです。

「何屋さん」かの問いかけは実のところ「店は何のために」という「店の目的」を問うことだったのです。店は「おもてなし」の心で、商品提案をとおして顧客の生活に役立つために存在しているのです。