今日は、昨日午前中の荒天から一転して、朝から溢れる様な日差しの一日になりました(何でもこの4月で一番日照時間の長い日だとか)。

 

モーリス・ルブラン「スパン対ホームズ」です。

先日芦部さんの本を読んでいたら、無性に読みたくなってしまいました。

 

(多分)小学生時分に「ポプラ社」のシリーズで、親に買ってもらったり図書館で借りたりして夢中で読んだルパンものでしたが、それから50年近くパスティーシュものではお目にかかりましたが、さてルパンものはどんなイメージだったのかと気になってしまいました(すっかり忘れていました)。

この本は、「ルパン対ホームズ」の2話が掲載されていますが、タイトルはそれぞれ「金髪の女」「ユダヤのランプ」です。

 

巻末の解説が北原尚彦さんと云うのも贅沢なオマケですが、この本が出版された当時はコナン・ドイルの許可が得られず、シャーロック・ホームズを名乗れなかったとのことです(原題もArsene Lupin Contre Herlock Sholmesですので、日本でも当初はエルロック・ショルメスだったとか)。

実際に初級シャーロッキアンの私としても、ホームズのワトソンに対する扱いや操作手法等々で如何にもらいくないと思って読み進めていましたので、解説でその謎が解けた思いでした。

 

ともあれ、ガニマール警部を筆頭にパリ警察を翻弄する怪盗アルセーヌ・ルパンを、被害者から依頼されて訪仏したイギリスの名探偵が苦労しながら追い詰めて、一旦は盗品を回収して目出度し目出度しとなりながら、その実ルパンは捕まらずに活躍し続けると云う立て付けの2話で、こんなフォーマットを考えると江戸川乱歩が怪人二十面相を生み出した背景として、間違い無くルパンの存在が居るのが良く判りました。

 

「813」「奇岩城」と云ったタイトルはズーッと覚えていて、この作品も子供時分に読んだのは間違いないのですが、老けてしまってからはこの手の下げ(結末)と無理筋のトリックが、鼻に付いてしまったからなのでしょうが、残念ながらこの本を読んでいても余り楽しめないうちに終わってしまいました。

それでも1908年に出版されてから、今なお高い知名度と版を重ねる人気はミステリー界において、ホームズと並び称されるに相応しい作品だと思います(たまたま私の好みではなくなってしまっただけです)。