今日も昨日同様に暖かかったのですが、日差しがほとんど無かったので、少しだけ冴えない天気になってしまいました(暖かいのでも充分ではありますが)。

 

松岡和子「すべての季節のシェイクスピア」です。

福田恆存さん訳のシェークスピア戯曲(新潮文庫)が尽きて、その他の作品で気軽に手を出せるものとなると、著者が全集を完成させたちくま文庫版しかなくて、押っ取り刀で読み始めたのですが、福田さんの仕事に比べれば時代が随分現代に近いお陰で、とても読み易く原典で表現されているニュアンスを表現する工夫も楽しく感じられて、「ならば」その著者をもう少し知ろうと読み始めました。

 

結論から言ってしまえば、結構シェークスピア劇に造詣が有って且つ色々と舞台を見ていないと、どうにも着いて行けない部分が多くありますので(まあ、当たり前ではありますが)、どうにも頭に入りづらい部分が多かったのは残念でした(総て我が浅学が所以です)。

 

ともあれ、松岡さんがシェークスピア全作品を訳すに至った切っ掛けが、1998年(平成10年)から始まった「彩の国さいたま芸術劇場」でのシェイクスピア全37作を上演企画に携わったのが発端だったとか、初代監督の蜷川さんが亡くなった後に第33作からは吉田鋼太郎さんが芸術監督を務めた偉業で、2021年に全39作の公演が完結したのだそうです。

よって、この本の原本が上梓された1993年段階では道半ばで、後日「終わりよければすべてよし」のコラム等を追加して出版されたのがこの文庫だそうです。

 

そんな訳で、私のシェークスピア読み直し(過去にも2/3位しか読んでいませんが、この際時間をかけて全作を読んでみようと考えています)も大幅に道半ばですので、これからは松岡さんの労作にお世話になり続けてゴールインしたい、そんな風に考えています(その為にも著者の考え方の一端に触れられたこの本は、とても価値が有るものと考えています)。