今日も気温が上がらなかったのですが、風が弱くまずまずの早春の空気感ですが、明日は西の方から荒れてくるとか、外出の予定があるので今から少々気鬱です。

 

倉知淳「世界が望む静謐」です。

前作「皇帝と拳銃と」に続く乙姫シリーズ第2弾の短編集です。

短編4作のタイトルは「愚者の選択」「一等星かく輝けり」「正義のための闘争」「世界の望む静謐」です。シリーズだけに趣向は同じで、総て本格倒叙ミステリ×コロンボレスペクト型の作品ばかりです。

 

また、乙姫警部の捜査方法は基本的に関係者(容疑者含む)の事情聴取の積み重ねで、物語の進行も基本的には同じ形で進行して行きます。

事情聴取は当たり前として、警察捜査の基本である「地取り」「鑑取り」を重ねれば、その事件の本質(動機・手段など)にも辿り着ける事件がありますが、そこはそれお約束事として楽しめば良いかと思います。

 

乙姫警部シリーズは、元よりミステリ好きで、尚且つ本格的なパズラー(倒叙物もウェルカム)が好みな私にとっては、幾つか思い浮かぶ中でも好きなシリーズの内の一つですが、特に独特の容貌とファッション(絵に書いた死神を想像させて、常に無表情・無反応で丁寧一辺倒、且つ常に黒っぽい服に身を包む)で容疑者(読者としては主犯と判っている登場人物)と接する際に、余程通ではないと判り得ない蘊蓄をポロリと出す(今回は、漫画やコミケや演歌等)場面が大好きで、ついつい次はどんなレア蘊蓄を読ませてくれるのかを想像して楽しくなってしまいます。

 

ともあれ、常に事情聴取の初期段階でチョットしたヒント(容疑者の発言や振る舞い)から的を絞り、徐々にロジカルに追い詰めて行くスタイルはこれからも崩さず楽しませてくれれば文句なしです(今回は珍しくブラフを掛けて追い詰める事件もありましたが)。

次回作では、話の種になるばかりの鈴木刑事が、何か活躍を見せてくれるかもしれませんね。