昨日同様真冬の寒さに苦しむ1日でした。

それでも、少しは日差しが有りましたので、日向だけは何とかやり過ごせましたが、日陰はとんでもなく冷えた感じがして、オーバーパンツをはいていて丁度と云う感じでした。

 

愛川晶「落語刑事サダキチ」です。

副題は「神楽坂の赤犬」です。

高座のホームズ・昭和稲荷町らくご探偵シリーズからのスピンアウト(主人公が神楽坂署刑事課捜査一係の平林定吉巡査部長)ものですが、基本的には最後は稲荷町のアドヴァイスで物語に決着を付ける立て付けですから、個人的には高座のホームズ第5作と言える連作短編集だと思います。

 

三話構成で、それぞれタイトルは「放免祝い」「身投げ屋もどき」「神楽坂の赤犬(放火犯を指す隠語とか)」です。

物語の設定は昭和55年ですから、安楽椅子探偵8代目正蔵師は84歳で亡くなる2年前と云うことになります。

この作品から登場して、準主役(と云うか狂言回し的な役割を担っています)として捜査三係(窃盗犯)の三崎優子巡査が登場し、持ち前の一芸(偶に瞬間記憶能力が発揮される)で事件解決へ貢献するのは元より、落語初心者(講談社の落語全集は暗記する程読み込んでいるのに、生の高座を聞くのは今回が初めて)として挿入される様々な落語の説明への導入役も担っています。

 

昔正蔵師匠に入門を許されたのに、周囲の反対で警察官の道を歩んだ定吉(さだよし)巡査部長ですが、ベテランらしい知見で事件を良い所まで詰めて行く手腕は、流石と思わせる程の人物に描かれていますが、最終的に事件全体を解き解して事件を再構築する役目には、正蔵師匠に頼らなければならないのですから、本人としては少しは残念に思っているのでしょうかねぇ?

 

元々落語が好きで、落語に題材を得たミステリも大好きな私で、これまでも大倉崇裕・山口雅也・鯨統一郎各氏の作品を楽しませてもらっていますが、現在判っている時点でシリーズを書き継いでいらっしゃるのは愛川さんだけですので(存じ上げないシリーズがあれば御免なさい)、これからも益々新作を生み続けてくださると有難いのですが、こればかりはファンとしてお祈りするしかありませんね。