今日も寒い1日でした。

異常気象の昨今とは言いながら、大寒前後となると矢張り寒さが厳しくなり、何となく辻褄を合う様ですね。

 

中野京子「怖い絵 死と乙女篇」です。

今年(実際にこの本を読んだのは2022年の12月)は中野さんの作品を集中的に読んでいますが、この作品は出世作と言って間違いない「怖い絵」の3作目に当たります。

何しろ多彩な画家・作品を扱いながら、よくもネタ切れにならないで書き続けているものだと感心しますが、よくよく吟味すれば同様の作品や評論が散見されて、これもまたいたしかた無いかもしれません。

 

「怖い絵」の中でも、女性や死に特化して集めた内容ですが、相変わらず知らない画家・作品が豊富に扱われており、美術好き初心者の私にとってはとても頼りになる1冊なのは間違いありません。

作家・作品名を挙げているとキリが無いので、メモするのを止めておきますが、ボッティチェリからシーレまでと幅広い時間軸で、女性を巡る「死や恐怖」を読み解く視点について丁寧に解説されており(中野さんの作品は常にそうなので助かります)、成程表面的に描かれている内容を眺めるだけではなくて「人物の視線や表情」に「絵の書かれた背景」を重ね合わせれば、色々と違った物が見えて来るのですね。

 

著者は生年や細かいプロフィールを発表なさっていないので、良く判らないのですが、ドイツ文学者・西洋文化史家として大学で講師もなさっているそうですから、背景には幅広く深い知識・経験をお持ちだからこそ、一連の美術関係著作の面白さは格別なのでしょうねえ。

この分野については学ぶ事に切りがありませんし、まだまだ中野さんの未読の作品群が有りますので、これからもボチボチとつまんで勉強させてもらおうと思っています。