4 11 詩集 返答詩集 日記詩集  おまけトーク(ケミストリー) | 私にとって詩を描くことは祈ることと同じ。それを私は希望と呼ぶ。

私にとって詩を描くことは祈ることと同じ。それを私は希望と呼ぶ。

それは闇の中に見出した光
苦しみに絶望し 痛みに涙して
その零れた雫が奏で 咲いた花のような光
それは絶望に対する楔 そして世界への賛歌
言葉は連なり詩となり 詩は列なれば物語となる



彼女は店を渡り歩いては
絵を置いてくれないかと頼んで回っていた

急な話に多くの人は困惑し
変な物を売りつけられるのではと警戒し
話をする前に興味もなく拒絶することの繰り返しだった
了解を得たにも関わらず無造作に捨てられていることもあった

売れなくても 捨てられてもいいと
悲しみの中で思う

心の中の風景に
記憶の一頁でもいいから
心に留めておいてもらえないだろうか

願いを託した絵画を携えて
彼女は今日も足を運ぶのだった


「営み」



緑の深い人里離れた山の中
ひっそりと佇む山村の家々
誰もが見ていようと 見ていなくても
淡々と紡がれる日常という営み

生活を支え
命を彩る
尊くも強く
儚くも温かな命の歌

海から上げられる収穫を奉るように
烏賊は白く輝くように光を浴び
いかなごは雪のように大地を埋める
吊されたタコは布団のように一斉に風にはためく
生き物の恵は自然の施しのよう

柿が玄関に吊されれば紅く輝き
収穫を願う

大根は草原のように建ち並び
稲架により整列する金色の歌

時が止まったかのように奏でられる
水車が風に周り
静けささえも歌のように
草のすれ音さえも囁きのよう

立ち並ぶ三角屋根の家々
日本という国古来の姿の帰る場所
家の暖かさと温もり 趣深く心地よい静けさに
この地は帰る者を待っている

営みは報われるかも分からず
天に委ねただ淡々と行われ
耕すという行いは同じ作業を繰り返すだけのものでしかない
収穫の季節が訪れれば誰もが尊さを知る



燦々と降り注ぐ陽光に海が煌めき
漁船がゆらりと揺れる
街が傍に佇み海が寄り添う
山を覗けば青空を背景に黄金色の稲穂が広がり
漁業が終われば一面に海の幸が並べられ陽に輝く

いつから忘れてしまったのだろう

自然の恩恵に祈りを捧げ
絶やさない歩みによって日常が営まれていたことを

一生を営みに費やす者の 傷だらけの尊い手によって
人々は生かされているということを

底知れない豊かさと限りある命の恩恵によって
人々は今日も生きるということを


「とあるお店にて」

ⅵ・誰もが仕事に自らの存在を賭けている

人の在り様よりも先に 人の力だけが問われてしまうなら
求められるのが結果だけであるならば
「誰か」である必要はなく 誰でもいいということになる
人間的な感情や心の揺らぎは要らない

一体なぜ人は生きるのか
結果だけが答えなのか
果たして人として生きることの意味があるだろうか

存在と生き方があって初めて
持ち得る技術や知識や知恵と命が光を放つのであり
生きるための能力はあらかじめ備わっているのではないのか

仕事に問われているのは 人が求められているものは
彩り 瞬き 煌めき 移ろう 感情の中で何を選ぶのか
いかに生きるのかという人間性

抱えるものに垣間見える 弱さと強さ 苦悩と歓喜 醜さと美しさ
愚かさと賢さ 憎しみと愛しみ 全てが問われ 暴かれるならば
自らの存在を賭けて 働いて 生きているとは言えないか


 2「望みの最果て」

傷の深みに誰も気づくことはない
傷つけた本人さえも忘れている

自分のことしか考えず
他人は利用価値があるかどうかが全て

心の傷は消えない 未来へと足を踏み出しても
痛みは残り続け 過去に囚われてしまう

胸の内を曝して傷だらけの心を見せてやりたい
裁けるならこの手で呪いたい 何も変わらない 空しいだけ

行き場のない憎しみをどうすればいい
日常は切り裂かれ 見えない雨に打たれている

消えない涙を流し続けている
見えない痛みで傷だらけになって
癒えないままで心は彷徨っている

綺麗事は奥底に潜む醜さを覆い隠してくれる
みんな甘美な響きに酔いたいだけで
いつも振り回されてきた

彼らを責めようとは思わない
自分のことしか愛せないだけ

信じるから傷つくのなら
信じなければいい

この世界に独りで生きていると思えば
空しいこともない

自分だけを頼れば
苦しむこともない

 

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おまけトーク

話した人が自然について深く考えている人というのが雑談の中で分かって。素晴らしいなって思ったら、たぶん自分以外の人はガチ勢だから、自分は大したことがない、という話になり、いや、でもガチ勢までいくともはや思想だから、それくらいがちょうどいいよ、と話した。自然について考えを深めている人と話すと、何か大きな自然を前にしたような敬虔な気持ちになる。素敵な時間だった。自然は一円もお金にならない。それでも命には必要だ。この矛盾めいた構造に気持ち悪さを感じつつ、依存していることに人の限界を感じつつ。その流れでなぜか英語話そうぜ、てなって、急に英会話が始まる。全然言えねー💦てなったけど、色んな関心事がこうして誰かとの出会いを通して繋がっていくのは、やっぱりなんだかうれしい。