4 10 詩集 返答詩集 日記詩集  おまけトーク(思考の3タイプ) | 私にとって詩を描くことは祈ることと同じ。それを私は希望と呼ぶ。

私にとって詩を描くことは祈ることと同じ。それを私は希望と呼ぶ。

それは闇の中に見出した光
苦しみに絶望し 痛みに涙して
その零れた雫が奏で 咲いた花のような光
それは絶望に対する楔 そして世界への賛歌
言葉は連なり詩となり 詩は列なれば物語となる

    ―第二章―
画家が心に描く景色

    1

彼女は売れない画家
心に見た風景に触れるために筆を握り
想いを色に託して散りばめる

崩れ落ちる波 空に波打つ雲
雲から降り注ぐ滝 涙に暮れる雨
昇る瞬間の太陽 月夜の静けさに舞う桜
人の笑顔 手に触れた温もり

描くだけなら写真を写し取るのと変わらない
見た物をただ描きたいわけではなかった
見えないものを絵に加えたいわけでもなかった

心に感じた躍動
美しいと思わず溜息が漏れた瞬間
ささやかな幸福に満たされた思い出
放たれた想い

出来上がった作品には何の感動もなく
心が震えた瞬間はどこにもなかった

思うように描けない
苛立ち キャンバスを破り 筆を投げ捨てたこともあった

彼女は新しいキャンバスを立てかけ
新調した筆でもう一度描くのだった

何度でも 届かなくても
救いを求める指先のように

心に見た眩しさを 描きたくて
心に触れた温かさを 見てみたくて

本当に描きたかったのは
彼女が見た夢だったのかもしれない


「遙かなる風」


黄金の大地が緑に変わりゆく
見上げれば蒼い山々が連なり
風吹けば川のせせらぎが安らかに流れ
橋から見渡す景色に帰る場所が溶け込み
彼方に行き先を見る

石垣を覆う草が風に揺れる
脇を流れる小川に笹舟が流れる
人の思いを乗せて
手に込めた願いを繋ぐように

舟はどこまで行くのだろう
誰かに届くことはあるだろうか

沈まない舟はない
川を流れ続けるなら
風の彼方の川の果てまで流れていくとしたら
笹舟が見る景色はどんな世界なのだろう

草が揺れて赤いベンチが顔を覗かせる
使われなくなったバス停が残された 旅の僻地
訪れる人はいるだろうか
誰も訪れなくても 取り残されたベンチは
帰らぬ人を待つかのように
今日もまた 旅人の訪れを待っている



「とあるお店にて」


ⅴ・たとえ仕事を辞めることはできても


たとえ仕事を辞めることはできても
自分を辞めることはできない
働く時間をどんなに生活と隔てて考えようとも
生き方は 生きる限り問われ続ける

人生と仕事を分けて考えてしまったら
働いている間の自分は一体どこにいるのか
どこで生きているのか

働くために生きるのではないはず
生きるために働くのでもないはず

働くことの積み重ねに
自分が自分として生きる一瞬も存在するはず

自分の願いと他人の願いとの間に
営みがある


「故郷―夢の彼方―」


    1「哀しみのゆくえ」


傷と痛みは旅立ち
哀しみと虚しさは辿り着く

地平の彼方へ
行き着く先は広漠の地

思い出は残像に過ぎなくて
時を経て虚しさを積み重ねてきた

空いた隙間が
重苦しくて耐えられない

何で埋めていいのかも分からない
苦しみで埋めようとしているのかもしれない

涙をどれだけ流そうとも
心が満たされることはない

風に扇がれる木の葉のように
彷徨うしかなくても

見つけてもいない煌めき
確かに手にしたいと願う何か

探しても見つけられないから救われない
どこに行っても触れられないから空しい

求めているものが何一つとして手に入らない
生きることに失望してしまう

未来を希い
世界を旅している
 

 

 

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おまけトーク

思考のタイプ3パターン
・具体的なイメージで考える:物体視覚思考タイプ
・パターンや抽象的な概念で考える:空間視覚思考タイプ
・言語化して論理的に考える:言語思考タイプ
言語化が全てではないということ。