中国工場改善・品質改善や工場運営のヒントが得られる
メルマガ「世界の工場・中国の実状から学ぶ工場改善手法」発行中。

中国工場改善コンサルタントが見た中国の実状をお伝えしています。
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先週の土曜日(7月31日)に「中国工場品質改善セミナー」を行いました。
当メルマガ読者の方も多数参加していただきました。ありがとうございました。

参加したみなさんとても真剣に聞いてくださいました。でもガチガチの雰囲
気ではなく、リラックスして聞いていただけたようです。最後の質問コーナ
ーも活発な話が出来ました。

参加した方のコメントの1部をご紹介します。

●このセミナーで興味を持ったところ
生産の3要素を切り口として品質改善を考えることです。実感として、その
通りだと思い、改善への注力の仕方を見直すきっかけとなりました。
(Y.Oさん)

●トップが重要と言う点について。やはり工場はトップだ、ということを再
認識しました。工場のトップに今日のことでおもしろいと感じた事を報告し、
つなげていきたいと思います。
(Y.Hさん)

●3Mのうち、人の問題が一番重要だと思います。「ものづくり」の前に「人
づくり」、特に現場の管理者(班長クラス)をきちっと育成する必要があります。
(A.Hさん)

●リーマンショック以降、又、広東省の離職率のお話に大変興味を持ちまし
た。自分が内心考えていた日本式社員教育が現在の中国で不可能に近いこと
がわかりました。本当に参考になりました。帰国中にチャンスがあれば、又、
参加したく存じます。
(K.Wさん)

●設備の重要性についていろいろな不具合事例があることを知り、これまで
は人と材料には目がいっていたが設備の管理や使い方も重要であることが判
った。今回のセミナーは、色々な事例を詳しく説明いただきとても参考にな
りました。私のような部品を使う側が、どのように改善していくべきかもメ
ルマガなどにのせていただきたい。
(R.Aさん)

●中国人作業者、中国人幹部の育て方。中国工場の現場の品質意識や改善意
欲が高くないから。
(H.Mさん)

他にもありますが、また別の機会に紹介させてもらいます。

今回このセミナーを実施して、この内容をもっと多くの方に聞いていただき
たいと改めて思いました。ですので、再度開催する予定です。その際には、
メルマガ上でお知らせしますね。


今日の雑感

大学野球の世界選手権が日本で開かれています。日本は初戦の韓国戦に快勝したもののキューバには完敗でした。その前日日本が4:0で勝った韓国にキューバは何と18:0で勝っていたので、その力はどれくらいなのか興味がありました。

結果は、今年のドラフト1位指名有力投手がメッタ打ちにされてしまいました。キューバ恐るべしですね。東海大の菅野投手も157Kmを出したとありましたが、ホームランを2本も打たれています。

でもこのまま勝ち進めば決勝戦でキューバと再戦できるでしょう。その時は是非早稲田の斉藤投手に投げてもらいたいと思います。球のスピードでは菅野投手にかないませんが、変化球のキレと投球術でどのようにキューバ打線と対峙するかを見てみたいです。

そして大学投手ナンバーワンであることを証明して欲しいですね。


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■ 工場生産を停めるのはどの部門?? ■
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●前回、品管部門(品証部門)には生産ラインを停める権限があり、それがうまく機能している例を紹介した。メルマガでは読者の方の工場ではどの部門がその権限を持っているかをアンケートで伺った。

●アンケートの結果はこのようになった。
総経理(TOP)    11票
生産部門      6票
品管部(品証部)    11票
技術・生産技術部門 5票
営業部       2票
その他       1票

●総経理がラインストップを決める、判断すると言うのは、停めた場合の影響の大きさから工場TOPの判断が必要ということと読み取っている。

●このアンケート結果全体を見ると、総経理、品管部、生産部門・技術・生産技術部門とがほぼ1/3ずつとなっている。会社の成り立ちや考え方が反映された結果として興味深い。

●おもしろいと思ったのは、営業部門がラインを停めるとの回答が2票あったことだ。営業部門としても品質問題が発生する危険性の高い製品を生産され納品することは避けたいし、納品後のフォローで余計な手を煩わせたくないということであろう。営業部がどのような根拠や判断基準で停めるか、とても興味がある。


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■ 今日のポイント ■
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●ここで読者の方からいただいたコメントを紹介する。コメントを書き込んでくれたみなさん、ありがとうございました。

◆先ずは生産技術部門が停めるというOMGさん。
品質保証部門は、製品の出荷に関する権限を持ち、問題があれば出荷を停止します。ラインを止める権限は品質保証ではなく、生産技術部門ですが、製品の出荷停止処置を受けて直ちにラインを停止することになります。

◆次に開発部門(技術部門)というほげほげさん。
弊社ではグローバル化が図られており、開発部門からの生産停止の指令は即座に実施されるが、製造での問題では、開発部門にお伺いを立ててからの事が多く若干時間がかかっていると思う。

◆亜都常泊者さんは、「基本的に各部門の合議で決定しますので、複数の部門が持っていると言えそうです。」と書き込んでいただきました。

●OMGさんのコメントにあるように品管部門は出荷停止の権限は持っているが、生産停止までの権限は持っていないという会社も多いと思われる。

●最後に通りすがりさんのコメントです。わたしの単純化したアンケートに一石を投じてくれています。少々長いですが参考になりますよ。

◆私が在籍した会社では、日本も中国現法も品管部門が持つのは、「出荷停止」のみで製造ラインのSTOPは、製造部門長に任されておりました。特採や手直し出荷、混入不良のリスクや、はたまた生産品の全量廃棄のリスクを判断するのは、原価と業績の責任者との考え方からです。で、実際にはその総責任をもつ総経理や事業部長の同意により停止と。(トヨタ方式の生産性改善の為の問題顕在化のライン停止の場合は、別ですよ)

◆さて、品管の責任者が製造停止権限までを持つ事による、将来のリスクについて殆ど論じられていないのが気になります。根本氏も其処までの経験は、実際にされておられると思うのですが...。
「品管部門は神様」論に陥いった場合のリスク...として小生の経験を述べてみます。

◆生産を停止するってかなりの権限です。自制が大切とのことですが、違った観点で見ますと、製品の品質と客先での影響を考えるだけで判断するのは安易である場合も多々有るかと。品管は、生産技術や製品設計のプロではありませんし、経理や営業が持つ色々な責任を熟知する立場でもありません。それにも拘わらず、生産停止の判断を下して行くのは、「企業の存続に対して誤った判断を下す可能性が出て来る」と考えます。ひとつは、適切に衆知を結集できないケース。もう一つは、影響の大きさに生産が止められず(出荷への圧力増)、中途半端な処置に至るケースです。
☆品管は、全てを承知して判断するような、神様ではないのです☆

◆つまり、衆知を集め判断するのは、どの様な形で誰が最適か?...会社の組織はその為に有るとお考え下さい。もう一つは、品管の組織責任(使命)を越えた判断を強いるのは如何なものか?と云う事です。

◆経験した一例は、客先に納入したユニットに信頼性(経時変化)の不良が発覚し、客先の品管と協議をした際に、先方は役員が出席。そして、当方が出荷停止(生産停止)を申し出たのに対して次の様に。「貴社は、今回の件を品質問題として捉えて協議していますが、我が社では経営問題なのです。出荷(船積み)が遅れると十数億円の売上が立たず、資金が回らなくなり、破綻に至る可能性が生じます。貴社はそのお金を立替等で手当てしていただけますか?」と。もちろん、当社の客先への売上は数百万円程度ですし、そんなのは無理と。結論は生産の続行でした。で、船で輸送中に両社の生産技術部門が集まって改修方法を考え、一部は市場対応で、殆どを輸入国先のバイヤー倉庫で改修。

◆もう一例は、安全規格取得の製品(電子部品です)に規格試験の不良が発覚した際、疑義のあるロットを含めて出荷停止へ。製造は生産を続行しながら営業と色々な逃げ手を協議。結果は、安全規格不要の香港バイヤーに売却、品管は色々と検討した上で出荷を諒承と。その裏側は、製造は直ちに営業に相談。蛇の道はヘビで業界の隅々まで知っている営業は、リスク・テイクしての生産続行で経営層を説得。品管は、火災等に至らないか設計部門を引っ張り込んで試験に次ぐ試験と。

◆如何でしょうか、会社と社会における品管の役割はむやみに広げず、必要な守備範囲でキチンと結果を出す事が大切かと。


●生産を停めると言うことは顧客への影響、そして経営的な影響があるので当然慎重な判断が必要だ。ですので総経理がその権限・判断をするという回答が多かったと思っている。ですが、問題が顕在化したときにどこかの部門が、または誰かがそれを言わなくてはならない。その役割を品管部が持つのがよいと考えている。

●通りすがりさんは顧客から「生産を停めることはまかりならん」と言われたご経験を記してくれました。わたしは購買の仕事をしていましたので、逆の立場で仕入れ先に生産を停めるな、つまり納品は継続しろと言ったことはあります。もちろんリスクを最小限にする努力をお互いにしてのことです。

●顧客の事情で生産を継続することもあるでしょう。しかし、それも先ず社内で生産を停めると判断し顧客に報告して初めてそのような話になるものだと考える。買う立場から言えば、「御社の生産を停めない為に不良が混ざるけど生産を続けます。」と言われたら「ふざけるな」と一喝するでしょう。


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■ 補足 ■
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●品管部が出荷停止の権限を持っていない会社はあるだろうか。出荷検査で不合格となれば、必然的に出荷はされないはずだ。ただし、特採や再試験などで救済することもよくあると思うが。


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