高高市早苗首相は20日,衆参両院本会議で施政方針演説を行った。先の衆院選での歴史的大勝を反映させるかのように,冒頭で「国民から力強く背中を押していただけた」と自信をにじませ,「謙虚に,しかし,大胆に,政権運営に当たっていく」と政策実現に向けた熱意と意欲を訴えた。

永田町関係者は,「高市首相の演説の端々から,衆院選で多くの国民の支持を得て大勝した自信がみなぎっており,ご自身が唱えた政策実現に向けて全力で突き進む姿勢を表現した施政方針演説であった。国民の様々な期待を背負って第2次高市内閣がスタートしたが,先ずは,スピード感を持った実効性のある物価高対策の実現が最優先課題となるであろう。一方,衆院では,自民単独で改憲案の国会発議が可能となる全議席の3分の2(310議席)を上回る316議席を獲得したことで,憲法改正に向けた議論が加速化されるだろう。参院では,自民単独(101議席)で全議席の3分の2(166議席)には及ばないが,『改憲勢力』といわれる政党(日本維新の会,国民民主党,公明党,参政党,日本保守党など)の議席を合わせると180議席以上もあるので,参院でも改憲発議は可能な情勢となっている。これを踏まえて,首相は,衆参の憲法審査会での議論を急ぐべく,『最終的に判断を行う国民の間でもこれまで以上に積極的な議論が深まり,国会における発議が早期に実現されることを期待する』と述べたのだろう。また,憲法審査会長に首相側近の一人である古谷氏(古屋圭司前党選対委員長)を起用し,玉木氏(玉木雄一郎国民民主党)をメンバーに復帰させたことで,発議に向けた動きを活発化していくのではないか」と語り,高市首相の迅速な憲法改正に向けた動きに注目する。

高市首相の施政方針演説に対しての野党の反応も様々である。

日本維新の会の藤田文武共同代表は,「社会保障改革への言及が不十分だった」と指摘。「傲慢にならず,野党の意見にも耳を傾けることを徹底すべきだ」と牽制した。

中道改革連合の小川淳也代表は,「それなりに熱意というか志というか,というものは党派を超えて受け止めたつもりです」としたうえで,「産業サイドに偏り過ぎだ。国民生活に目を行き届かせた温かい演説が聞きたかった」と指摘し,「消費税減税の本気度や安全保障政策の中身は見えなかった」と批判。「成長のスイッチを『押して』を5回ぐらいおっしゃったんでしょうか?だとするならば,私どもは完全に違うとは言いません。ただ比重の置き方がですね,やはり暮らしを底上げして,底上げして,底上げして,底上げして,生活を支えて,支えて,支えて,支えて,というところが,高市政権との最も対比が鮮明な部分だなという印象を受けております」と,小川節で優先順位を指摘した。

国民民主党の玉木雄一郎代表は,「物価高騰対策の具体策が非常に乏しかった」と不満な表情で,自身が具体案を提示する考えを表明。参政党の神谷宗幣代表は,「各党の公約を織り交ぜたような演説だ。具体性に乏しく,国会で追及していきたい」と批判した。

チームみらいの安野貴博党首は,科学技術分野への投資などに賛同する一方,消費税減税については「反対だ」と主張し,「意見が違う点はしっかり聞いていく」と述べた。

護憲政党である日本共産党の田村智子委員長は,「『強い日本を』と繰り返したが,暮らしが置き去りになっている」としたうえで,「賃上げをどう進めていくのかという政策が何もなかった」などと批判。改憲案の発議については,「戦争国家づくりの推進であり,大変危険だ」と指摘し,「改憲発議の動きに断固たちはだかる」と訴えた。

国民の大きな期待と様々な不安が交差する第2次高市内閣がスタートした。