アメリカとイスラエルは28日,イランへの大規模な軍事攻撃を実施した。イラン最高指導者ハメネイ師や大統領官邸なども標的になったと報じられている。

 アメリカのトランプ大統領は,自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に8分間のビデオを投稿。「私たちは相手側のミサイルを破壊し,ミサイル産業を壊滅させる」とアメリカによる軍事攻撃を認めた。そして,「私たちは繰り返し合意を目指すための努力をした」と主張し,「(イランが)核計画の再構築を試み,ヨーロッパの良き友人や同盟国,駐留米軍を脅かし,近いうちにアメリカ本土に到達し得る長距離ミサイルの開発を継続しようとした」と批判したうえで,「この極めて邪悪で過激な独裁政権がアメリカを脅かすのを防ぐために大規模な軍事作戦を遂行している」と述べた。また,「勇敢なアメリカ人の英雄の命が失われる可能性がある。私たちにも犠牲者が出るかもしれない」と,今回の軍事衝突により犠牲が出る可能性を示唆した。さらに,イラン国民に向けて,「あなた方に自由の時がすぐそこまで来ている」と告げ,この作戦が終わった際には,自分たちの政府を奪還するよう呼びかけるとともに,イラン治安部隊のメンバーに対しても,「武器を放棄すれば免責するが,しなけれれば確実に死を迎える」と警告した。

また,イスラエルのネタニヤフ首相も,「イスラエルとアメリカは,イランのテロリスト政権がもたらす存亡の危機を排除するため,作戦に着手した」との声明を発表し,トランプ大統領を「私たちの偉大な友人」と呼び,「歴史的なリーダーシップに感謝する」と称えた。さらに,「イランの宗教指導者による政権は47年間,『イスラエルに死を』,『アメリカに死を』と繰り返し叫び続けてきた」と批判し,「この政権は我々の血を流し,多くのアメリカ人を殺害し,自国民を虐殺してきた。この殺人的なテロ政権が核兵器を手にし,人類全体を脅かすことを許してはならない。私たちの共同での行動こそが,勇気あるイラン国民が自らの運命を自らの手で切り開くための条件をつくり出す」と主張した。

在米日本人ジャーナリストは,「ドバイで情報収集しているジャーナリストに連絡したところ,『イスラエル国内と中東の米軍施設が,イラン側から軍事攻撃を受け,各所で爆発音が響き,黒煙が上がっており,既に民間人の犠牲者も出ているようだ』とのことである。イランには約200人の邦人がおり,また,NHKのイラン支局長もイラン側に拘束されているため,安否が非常に気になるところだ。第三次世界大戦に発展する可能性もあると指摘されていたイランへの軍事行動。国連が仲介的な役割として全く機能していない今,イラン側と泥沼の紛争に突入し,中東諸国全土を巻き込む可能性もあるのではないか。現時点では先の読めない非常に緊迫した中東情勢となってきている」と,中東での対立の激化と紛争地域の拡大を懸念する。

なお,今回のアメリカとイスラエルの先制攻撃に対して,イラン革命前のパーレビ元国王の長男で,現在,アメリカで亡命生活を続けている元皇太子のレザ・パーレビ氏は,SNSに「我々に運命の時が迫っている」などと投稿。「アメリカが約束した支援がようやく届いた」とイランへの攻撃に感謝を示した。また,イランの軍や治安部隊に対して,「イスラム共和国は終わりを迎えつつある」と蜂起を呼び掛けるとともに,「諸君が守るべきはイランそのものであって,イスラム共和国やその指導者ではない」と体制転換に向けて協力するよう呼び掛けた。そして,国民に対しては,「今は自宅にとどまり準備をするように」と記し,反体制運動を国外から指導する姿勢を示した。

イラン情勢をめぐっては,アメリカとイスラエルが昨年6月,イランの核施設などを標的に攻撃。その後,イランも反撃するなど攻撃の応酬となり,戦闘は12日間続いた。戦闘が長期化,泥沼化すれば,それだけ多くの犠牲が生まれ,悲劇が繰り返されることになる。