今年のノーベル平和賞が日本時間9日に発表され、南アフリカの国際法学者、ナバネセム・ピレイ氏が選出された。ピレイ氏は元・国連人権高等弁務官で、南アフリカ高等法院で初めて白人以外の女性判事となったほか、国際刑事裁判所(ICC)の判事やルワンダ国際刑事裁判所の所長も歴任しており、一貫して「法の支配」を順守する責任を訴えてきた人物である。ICCの赤根智子所長らがアメリカのトランプ政権から制裁を受けている現状の中でのピレイ氏の受賞は、混沌とする国際情勢のあって、「力による支配」ではなく、「法の支配」による平和を訴えるものとして、世界中で共感が広がっている。

米シンクタンク関係者は、「トランプ大統領が受賞を望んでいたノーベル平和賞に、トランプ政権の制裁対象となっているICCの判事であったピレイ氏が選出されたことには、何らかのメッセージがあるのではないかと見方が広がっている。ノーベル平和賞の選考委員は、ICCの活動を高く評価しており、その受賞にICCを批判するトランプ大統領が相応しくない人物であるかのようなインパクトを与える選考であった。トランプ大統領のこれまでの言動からすると、この選考に刺激され、トランプ大統領はノーベル平和賞そのものの批判を展開するのではないか。ウクライナ戦争やイラン戦争を終結させていれば、トランプ大統領も平和への功績を大いに評価されていたのかもしれないのだが」とコメントする。

また、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)関係者は、「戦争や制裁、圧力ではなく、『法の支配』での世界平和を追求するピレイ氏がノーベル平和賞を今回受賞したことを大変歓迎している。被団協は(2024年)ノーベル平和賞を受賞しているが、現在組織の高齢化や財政難に直面して、今後の活動が厳しい情勢となっている。それでも、被団協には、核抑止力に依存する傾向にある国際情勢において、改めて核兵器がもたらす悲劇を世界に広めなければならない責任があると思う。次世代に向けて、多くの若者たちを育成し、私たちの活動を今後も継続して世界中に広げていきたい。被爆者は高齢化してきたが、核兵器を廃絶しなければ、被爆者がゼロとなることはなく、私たちの役割は大きいと考えている」と組織活動の存続を強調する。

「法の支配」を尊重するピレイ氏のノーベル平和賞受賞は、世界中の国々のすべての指導者に対して、国際法を尊重する責任があることを訴えているようだ。授賞式は12月10日にノルウェーのオスロで行われる。