10月5日,秋の第222回臨時国会が召集された。高市早苗首相は,衆参両院で行われた本会議で所信表明演説を行い,「私を貫く志は経世済民。世を経め,民を済う」と,政府の最優先課題である「経済」の力で国民の暮らしを守り,「希望ある未来」を切り拓く決意を強調した。会期は12月12日までの69日間となる。
永田町関係者は,臨時国会に関して,「『裏金議員』として処分された簗氏(簗和生・栃木3区)が農相に就任したことで,『大丈夫か』などと永田町は俄かにざわついていたが,あまりにも早いスキャンダルの発覚には驚いている。マスコミは問題発覚の可能性が高い閣僚の一人として関心をもって取材していたのだろう。先の衆院選で高市人気の追い風で自民が圧勝したにもかかわらず,簗氏は無所属候補に敗れ,比例代表で復活当選している。その簗氏による自身を支援しなかった自治体の道路予算を『大幅カット』という傲慢な発言は,身内の会合でのものとはいえ,国会議員としての資質としていかがなものだろうか。これでは地元での評判もあまり良くないだろう。簗氏は,国会審議への影響を懸念してか,謝罪した上で発言を撤回したが,『遅すぎる』との批判が野党からだけでなく,身内からも噴出している。これで終わりということにはならず,『政治とカネ』の問題として,野党側からの国会での追及は避けられないだろう。また,今回維新から初入閣した行革相・中司宏は週刊現代としんぶん赤旗で談合事件をさらに指摘され,国交副大臣・朝日健太郎と外務政務官・生稲晃子は公職選挙法違反に当たる事前運動を行った疑いを文春が報じている。今国会は経済改革最優先であるべきなのに,『スキャンダル国会』の様相になってきた」と語る。
なお,首長が簗氏を応援しなかった自治体である那須烏山市では,今年度の国からの交付金の一部が前の年と比べおよそ63%減少,那珂川町ではおよそ54%減少していることが分かった。また,首長が簗氏を応援した自治体である那須塩原市では,前の年と比べおよそ11%増加,那須町ではおよそ34%増加していることも分かった。これはたまたまなのか,簗氏の「大幅カット」発言と関連しているか,国民としては関心の高いところだろう。
簗氏は,「私からの働きかけはございません。実際の予算の状況については,国土交通省において適切に判断されていると認識をしてございます」などと,働きかけの有無について改めて否定し,実際の予算については「国交省が判断することがらで私は回答できない」として回答を控えた。そのうえで,国交省に予算について問い合わせた時期については「記憶を持ち合わせていない」と話している。
一方,井林辰憲国土交通相は「簗大臣側からの問い合わせの有無などを含め,事実関係を精査した結果を本日中に公表する」としている。お役所内で,決定に至るまでの生々しい議論や働きかけの詳細が文書として残っているケースはあまり考えられず,国民にとっては何かうやむやなまま幕を閉じそうだ。