石破茂首相(自民党総裁)は7日,首相官邸で記者会見し,自民党が8日に予定していた総裁選前倒しの是非を巡る意思確認の手続きを直前に控え,辞任を表明した。7月の参院選で大敗して以降,党内で総裁選前倒しを求める「石破降ろし」の声が急速に拡大してきており,続投は困難な情勢と判断したのだろう。石破首相は,臨時国会での首相指名選挙を受けた新首相就任をもって正式に退任する。
永田町関係者は,「菅氏(菅義偉副総裁,元首相)と小泉氏(小泉進次郎農相)が,6日夜8時半ころに首相公邸入りしたため,両名が石破首相に辞任を進言しているのではないかとの情報が流れていたが,現実のものとなってしまった。石破首相ご本人としたら,志半ばで,しかも『石破カラー』を出せないまま退任を決断をしたことは大変悔しい思いだっただろう。私のこれまでの石破首相の印象は,実直で大変真面目な方。『政治とカネ』の問題には自民党の中でも最も縁遠い議員の一人というものだ。また,派閥的な動きは苦手というイメージもあり,属人主義的な自民党の体質をどのように立て直すか楽しみにしていたが,これからというときの突然の辞任には非常に残念である。今回の『石破おろし』の動きを見ていると,『石破は嫌いだ』という方と,自分の力量は棚に上げて,『石破では選挙に勝てない』という方が,マスコミなどを利用して,その声を派閥的な動きで急速に拡大していたようにも思える。次,どなたが総理・総裁となるかは今の時点では不透明だが,自民党は『解党的出直し』を実行できる,決断力のある総理・総裁を選ばなければ,益々国民の支持を得られなくなってしまうだろう」と突然の石破首相の辞任に驚くとともに,次の総理・総裁にエールを送る。
自民党は,8日に党所属国会議員295人と47都道府県連の過半数(172)の要求があれば,総裁選前倒しを決定する方針であった。7日までに,前倒し実施を求める国会議員の賛成の数が反対を大きく上回っており,地方組織の半数を超える24都道府県連が前倒し賛成を決定していた。前倒し賛成の動きが拡大する中での,石破首相の辞任表明。石破首相は,日米関税交渉で「一つの区切りが付いた」と説明し,総裁選には出馬せず,「新総裁が選ばれるまで責任を果たし,新総裁にその先を託したい」と語った。そして,「自民党の臨時の総裁選挙を実施するかどうか意思確認を行えば,党内に決定的な分断を生みかねず苦渋の決断をした」と説明した。「石破おろし」劇場の幕は下りた。