自民党の二階俊博元幹事長(衆院和歌山3区)は25日,自民党本部で会見し,次期衆院選に立候補しない意向を表明した。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件では,東京地検特捜部が二階派の元会計責任者を在宅起訴し,二階氏の秘書も略式起訴されており,自ら議員活動を終幕させることで,その責任を取ることになった。

二階氏は,自民党を離党後に自由党や保守党などの結党に参加したが,2003年に復党して第2次安倍,菅両政権で歴代最長の約5年2カ月間,最長幹事長としてその与野党の人脈を活用して権勢を拡充させ,党内外で一目置かれる存在となっていった。

永田町関係者は「このタイミングでの二階氏の次期衆院選の不出馬表明は,党から処分される前に自ら二階派の裏金事件の責任を取ることで,自らの影響力を政界に残したかったのだろう。和歌山では『10増10減』の影響で,小選挙区は3から2に減少する。新1区では鶴保庸介参院議員が,新2区からは二階氏が出馬することが内定していたが,新2区の候補者選定が今後の課題となる。二階氏は『地元一任』との姿勢だが,地元の声を聴くと『二階氏の長男と次男は後継争いをしているが,二階氏の権威にあまりに頼り過ぎているような行動が2人に目立つなどあまり評判がよろしくない。地元での鞍替えを模索している世耕弘成氏も裏金事件をめぐり,政治倫理審査会(政倫審)での【秘書の責任】発言などで批判を受け,党の処分の対象の一人にもなっており,次期衆院選で公認されることはないだろう』とのことで,今のところ地元からは具体的な候補者の名前は聞こえていない。二階氏の議員引退は長年永田町で活動してきた戦友が去るようで寂しいが,記者会見を見る限り,政倫審に出席していたら癇癪が爆発していたのではないかと思うほど苛立っていた印象であった」と語る。

二階氏の次期衆院選不出馬表明にまで発展した自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件。岸田文雄首相(自民党総裁)は安倍派幹部だった塩谷立元総務会長,下村博文元政調会長,西村康稔前経済産業相,世耕弘成前参院幹事長の4人から事実解明に向けて聞き取り調査を行うとともに,政界引退後も安倍派に絶大な影響力を保っていた森喜朗元首相への聴取に関しても検討するとの考えを示している。

一連の聞き取り調査が実態解明につながることで適切な処分が下されれば,岸田首相の真摯な姿勢の現れとして今後の岸田政権への国民の期待が増すことになるのだろうが,単なるセレモニーに終わるのではないかとの不安も払拭できないのが現状である。