衆院３補欠選挙（島根１区，東京15区補選，長崎３区，４月16日告示，同28日投開票）の告示が近づいている。自民党派閥の政治資金規正法違反事件や不適切なパーティー問題などの不祥事の発覚後，初めての国政選挙となるが，島根１区補選の選挙情勢が今後の政局に大きな影響を与えるとして特に注目が集まっている。
永田町関係者は，「島根１区補選は，細田氏（細田博之・前衆院議長）が連続当選を重ねてきた選挙区で，後継として元財務官僚の錦織功政氏を擁立した自民党が絶対に落とせない牙城だろう。ところが，共産党が予定していた候補者の擁立を見送り，立憲民主党の亀井亜紀子氏を自主的に支援する方針を表明。また，国民民主党も県連レベルでの亀井氏支援を決めている。その結果，与野党との事実上の一騎打ちの構図となった。自民党派閥の裏金事件や統一協会との癒着の問題などで自民が逆風にある中にあっては，亀井氏が有利に選挙戦を展開できるはずなのだが，国民は今の野党には期待していないのだろうか，野党の支持率も依然として低迷したままである。自民がここで落とせば今後の政権運営や次期総裁選にも影響するだろうし，これだけ好条件が揃いながら野党が落とせば執行部への批判がさらに強まるだろう。まさに双方にとって絶対負けられない選挙区となっている」と島根1区補選の結果が国政に与える影響を語る。
また，地元記者は，「共産党は島根１区に新人の擁立を予定していたが，『反自民』と『政策』の一致で立憲民主党が擁立する前衆院議員の亀井氏を自主的に支援すると発表した。野党同士が票を食い合い共倒れとなり，自民に利するような事態だけは避けたいのだろう。これにより自民有利と見られていた選挙情勢が一変し，自民候補と野党候補との一騎打ちの大激戦区となった。全国的にも注目される選挙区となったことで，今後多くの与野党幹部が島根1区に入り，激しい選挙戦が展開されるだろう」と島根1区補選の与野党接戦を予想する。
，島根1区補選の勝敗は岸田政権の行方を左右するとともに，野党再編にも繋がる可能性があるととみられており，両党は総力戦で臨む構えで，自民・茂木，立憲・岡田両幹事長は既に島根１区に入りして前哨戦が本格化されている。「政治とカネ」の問題や「不適切なイベント」など政治家としての資質を疑われるような事案が相次いで発覚し，その対応や処分に追われる岸田政権に対して，国民は果たしてどのような審判を下すのだろうか。