米・ハリウッドで行われた第96回アカデミー賞授賞式で,宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」が長編アニメ映画賞を,山崎貴監督の「ゴジラ―1.0」が日本作品で初めて視覚効果賞をそれぞれ受賞した。

「君たちはどう生きるか」は第二次世界大戦中の日本が舞台で,米軍機の空襲によって母親を亡くした少年が,奇妙なアオサギに導かれて不思議な世界へ入り込むというストーリーが描かれている。なお,タイトルは,吉野源三郎著の同名児童文学から取られているが,オリジナル作品となっている。

「ゴジラ―1.0」は第二次世界大戦後の焦土化した日本が舞台で,戦後の復興に向けて人々が懸命に生きていこうとする中,突然現れた謎の巨大怪獣ゴジラが容赦なく建物や鉄道,そして希望を破壊していくというストーリーである。ゴジラ生誕70周年として製作された作品で,実写版「ゴジラ」シリーズの30作品目となる最新作である。

現地で取材したジャーナリストは,「日本の3作品がオスカーにノミネートされていたが,そのうち2作品が受賞をしたことは大変な名誉だし快挙だ。宮崎作品の受賞は『千と千尋の神隠し』以来,21年ぶり2度目だが,日本の作品が視覚効果賞を受賞するのは日本映画史上初めてのことである。視覚効果賞を受賞はこれまで『スター・ウォーズ』や『アバター』などハリウッドのSF大作が受賞しており,『ゴジラ-1.0』は日本映画界に新たな歴史と希望をもたらした。これを機会に日本映画もハリウッドだけでなく,世界に進出する機会が増えるものと期待している」と興奮気味に語った。

なお,ドイツのヴィム・ヴェンダース監督で役所広司主演の「PERFECT DAYS」は,「第76回カンヌ国際映画祭」では役所氏が最優秀男優賞を受賞するなど世界的にも注目され,オスカー受賞候補作品としての評価も非常に高かったが,惜しくも国際長編映画賞の受賞は逃した。

3作品ともに劇場に足を運んで鑑賞したい日本の名作である。