自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題で,東京地検特捜部は,自民党最大派閥の安倍派(清和政策研究会)の「5人衆」、松野博一前官房長官や高木毅前国対委員長,世耕弘成前参院幹事長,萩生田光一前政調会長,西村康稔前経産相からは既に事情聴取しており,27日には池田佳隆衆議院議員の議員会館事務所など,28日には大野泰正参院議員の議員宿舎などの強制捜査に乗り出した。特捜部による国会議員関連施設への捜査は異例だが,粛々とかつスピーディーに行われており,特捜部は徐々に核心に迫っている様相である。

永田町関係者は,「この問題が発覚したきっかけとなったのは,2022年11月6日付の『しんぶん赤旗 日曜版』で,神戸学院大学の上脇博之教授と赤旗記者との連携によって,政治資金収支報告書に関する資料を念入りに時間をかけて地道に根気よく精査したそうだ。しんぶん赤旗は,『桜を見る会』や『日本学術会議』などもスクープしており,今回も『赤旗砲』が炸裂したということだ。今や清和会の議員らは疑心暗鬼になっており,これを契機に清和会は分裂していくのではないか。連日,裏金問題が報道されている中,身に覚えのある議員や秘書らは戦々恐々としていることだろう。朝日新聞に掲載された時事川柳『赤旗に 白旗あげる 自民党』を読んだときは今の状況をうまく表現しており,思わず吹き出してしまうほどの傑作だった。栄枯盛衰は世の習いだと感じている」と語る。

また,共産党関係者は,「安倍派や二階派の収支報告書は,一部の収入を記載しなかったどころか,ねつ造の疑いさえある。安倍派パーティー券の購入者数を2022年までの6年間をみると,パーティー収入を2万円(1枚)で割った数字に0.675をかけた数字と一致している。毎年の実際の購入者数が,パーティー券枚数に0.675をかけた数字になることなどありえない。二階派も同じ。パーティー収入を2万円(1枚)で割った数字に0.8をかけた数字を,22年までの4年間の各年の購入者数として記載している」などと不自然な購入者数を指摘する。

もはや,政治資金収支報告書の過少記載とか,不記載とかの問題だけではなく,政治資金収支報告書の内容自体が虚偽ではないかとの疑惑に発展している。いったい誰の指示で巨額な裏金が作られてきたのだろう。また裏金は何に使われたのだろう。追い詰められている自民党派閥政治。国民は真相の徹底解明を期待している。