サウジアラビアとイランは10日,外交関係を正常化することで合意した。サウジがイランと断交したのは2016年で,サウジでのイスラム教シーア派聖職者の処刑を受け,イランのデモ隊が首都テヘランのサウジ大使館を襲撃したことが契機となり,中東地域では紛争が頻発していた。

合意を仲介したのは両国との外交関係を構築していた中国。

両国間の仲介の舞台となった中国では,全国人民代表大会が北京の人民大会堂で開会中であったが,今月6日から北京でイランのシャムハニ最高安全保障委員会事務局長とサウジのアイバン国家安全保障顧問,中国外交トップの王毅共産党政治局員の間で協議が続けられていたとのことである。

3カ国が連名で発表した共同声明には「サウジとイランの友好を支持する習近平国家主席の積極的な提案に両国が応じた」と記載されており,習主席の功績が強調されている。

合意後,王氏は「重要な成果が得られた。対話の勝利,平和の勝利だ」と語るとともに,「我々は引き続き,全ての国の望みに応じて今日の世界の懸案に適切に対処する建設的な役割を果たし,大国としての責任を示していく」と積極的に平和的な外交を行う方針を述べた。

さらに,「世界にあるのはウクライナ問題だけではない」としたうえで,「中東の運命は中東の人々自身の手で決めるべきだ」と強調し,米国の動きを牽制した。

なお,サウジとイランは2か月以内に双方の大使館を再開する予定とのことである。

永田町関係者は「アメリカは中東地域での中国の影響力が増すことを危惧していることだろうが,先ずはイランが合意を順守するかどうか見ていると思う。国際社会全体を見渡せば,民主主義が根付いていない国家も多い。アメリカ中心の世界秩序に反発する国々に対して,今後も中国が仲介などで外交的影響力を増していくことになるだろう。そうなると,最も懸念しているのは台湾問題だ。台湾統一を事実上の公約に掲げた習主席は在任中に必ず何らかのな動きで台湾政策を実行するはずだ。中国の平和的外交が台湾の人たちから支持されれば,台湾の親中派の国民党が台湾民衆党と連携して勝利することもできる。そうなれば,台湾の民意を尊重した平和的統一も実現可能だろう。中国の外交戦略からは今後も目が離せない情勢だ」と話している。

  新たな世界秩序の構築を念頭に動く中国の外交戦略。その影響力は世界中に広がっているようだ。