ベトナム人の元外国人技能実習生レー・ティ・トゥイ・リンさんは,2020年11月,死産した双子の遺体を自宅に遺棄したとして死体遺棄罪に問われ,一,二審で有罪判決を受け,これを不服として最高裁に上告。24日上告審弁論が,最高裁第2小法廷で開かれ,弁護側が無罪を主張し結審した。判決期日は後日指定される。

外国人技能実習生の過酷な労働の実態を長年取材しているジャーナリストは,「当時,みかん農園で働いていたリンさんは妊娠が雇用者に発覚すれば帰国させられると考え,周りに相談することができず,病院で受診することもなく,自宅で双子を死産した。その後,遺体をタオルで包み,赤ちゃんに『強い子』『賢い子』という意味の名前をそれぞれにつけ,『2人とも天国で安らかに』と書いた手紙を添えて段ボール箱に入れて棚の上に置き,出産翌日に訪れた病院で死産したことを伝えて,その後逮捕されている」と事件の経緯を説明。

りんさんは裁判で「我が子を捨てようなどと考えていない。一時的に安置しただけで遺棄していない」と一貫して主張していたが,2021年7月,一審の熊本地裁はリンさんに対し懲役8か月,執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。その後,二審の福岡高裁は遺体を置いたままにしたのは30時間ほどで「放置していたとは言えない」として一審判決を破棄したものの,遺体を段ボール箱に二重に入れテープで封をした行為が「隠匿にあたる」として,懲役3か月,執行猶予2年を言い渡したが,弁護側が上告した。

最高裁での弁論で,検察側は「被告が遺体の入った段ボールを二重に梱包して普通の荷物を装った」などとして「二審の判決に誤りはない」と主張。

これに対して,弁護側は「段ボールのふたをテープでとめて,『我が子が寒くないように』と二重にしたのは,遺体を隠したわけではなく棺のかわりにしたものだ」,「被告は葬祭する意思を持っていた」などと改めて無罪を主張した。

上記ジャーナリストは「ベトナムの貨幣価値は日本の約5分の1。日本で10万円の収入があればベトナムでは50万円の収入になる。日本での収入が実習生だけでなく,ベトナムにいる家族の経済的な大きな支えとなっている。妊娠を理由に技能実習生が帰国せざるを得なかったケースが実際にあるため,りんさんは妊娠を理由に帰国させられることを恐れていたのだろう。妊娠しても安心して働けるという今の日本では当たり前のような職場環境が技能実習生にはないのだ。りんさんの事件は日本が人権後進国と言われる事例の一つだ。再びこのような悲しい事件が起きないよう日本は早急に外国人技能実習生の制度を見直すべきだ」と訴えていた。

最高裁での弁論は二審の判決を変更する際には必要な手続きとのことなので,失われた2つの尊い命のためにも二審の有罪判決が見直され,実習生の労働環境が早急に改善されることを期待したい。