2015年6月から3年超も内戦下のシリアで行方不明となり,武装勢力に拘束されていたフリージャーナリスト・安田純平氏が解放された。
 23日深夜,安田氏の解放情報を突然発表した菅官房長官は「官邸を司令塔とする国際テロ情報収集ユニットを中心にカタールやトルコに働き掛けた結果だ」と政府主導による解放劇を発表。
 ところが,実際に解放されてから既に4日も経過してしていた。
 今回のタイミングで安田氏が解放されたのは,安田氏が拘束されていたシリアのイドリブ県に『非武装地帯』が設置されたことで,移動を余儀なくされた武装勢力が安田氏をお荷物に感じてきたという状況をとらえて,カタール政府が解放交渉を行い,身代金を支払ったとの情報がある。
 また,在英のシリア人権監視団のアブドルラフマン代表はカタール政府が武装集団に多額の身代金を払ったことを明らかにし,その額は,300万ドル(約3億3000万円)との情報がある。
 日本政府は身代金の支払いを否定しているが,仮にカタール政府が自らの判断で身代金を払ったとして,邦人を助けてもらった安倍政権は今後どう対応するのだろうか。
 安田氏は,複数のメディアの取材に対して,「帰国できるのはうれしい。同時に,ここから何が起きるのか,何をすべきかわからない」と語った。
 また,監禁され独房にいたという拘束生活に関しては,「地獄ですよ。身体的なものもありますけど,精神的なものも,きょうも帰されないと考えるだけで,日々だんだんと自分をコントロールできなくなってくる」「24時間,身動きひとつしてはいけない。水浴びも一切いけないという状態が8カ月続いた。殺されはしないと思っていたけど,いつまで続くのかという恐怖感はずっとあった」「最初はゲスト扱いだったが,次第に扱いが悪化していった」などと告白した。言葉にできないほどの地獄を見たのだろう。
 さらに,解放時の状況に関しては,武装組織に車で国境まで運ばれ,トルコ側に受け入れられたことを明らかにした上で,「トルコ政府に引き渡されると,日本大使館に引き渡される。そうなると,日本政府が動いて,解放されたと思う人もいるかもしれないので,それだけは避けたかった」などと日本政府主導による解放劇ではなかったことを示唆した。
 海外で様々な場で活動する日本人が多くなってきた現在,もし海外で事件に巻き込まれたときに助けを救めるであろう組織や人の中には,日本人であれば,「日本大使館」や「日本政府」という考えも当然浮かぶであろう。
 自分ではもはや何もできない無力の状況下においてこそ,真に救いの手を暖かく差し伸べてほしいものだ。