トランプ米大統領は17日,北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長との会談冒頭,記者団に対して,北朝鮮の非核化に関し,リビアと異なり,非核化後も金正恩朝鮮労働党委員長の体制は保証されると表明した。トランプ氏は,正恩氏が非核化を受け入れても「彼は国にいて,国を支配し,国は豊かになる」と言及し,リビアのカダフィ政権が結局は崩壊したことにも言及し「カダフィとは体制保証に関する合意がなかった。(北朝鮮の非核化は)リビア方式とは全く異なる」と主張した。
北朝鮮は非核化を制裁解除に先行させる「リビア方式」を非難し,拒否しているため,トランプ氏は体制を保証することで,北朝鮮の非核化がリビアのケースとは違うと強調する意図があったとみられるが,トランプ氏は「もしわれわれが(首脳会談で)合意に達しなければ,その(リビア)方式が実行される可能性が高い」とも指摘し,北朝鮮との交渉が不調に終われば,体制は保証されないと警告した。
トランプ氏が正恩氏が最も懸念しているといわれる「カダフィ大佐の末路」に言及したことで,北朝鮮をかなり刺激したようだ。
さらに,24日,ペンス米副大統領が金正恩体制が最後にはリビアのような結末になる可能性があると示唆したことについて,北朝鮮の崔善姫外務次官は朝鮮中央通信(KCNA)を通じて,「米国の問題に関与している人物として,私は米副大統領の口から出たこうした無知で愚かな発言に驚きを禁じ得ない」との声明を発表した。
声明は「米国がわれわれとの対話の場に座るのを望まないなら,米国に対話を頼んだり,わざわざそれを説得したりは決してしない」と指摘し,「米国が会議室でわれわれと会うか,核と核の対決という形でわれわれと向き合うかは完全に米国の決断と行動次第だ」と,トランプ大統領との首脳会談の中止も辞さないとあらためて警告した。
これを受け,6月12日にシンガポールで予定されているトランプ氏と金正恩氏との首脳会談が実施されるのか不確定になってきたが,北朝鮮の今後の選択肢はもはや後ろ盾の中国次第という情勢に変化してきているようだ