日本代表の新監督に決まったボスニア・ヘルツェゴビナ出身のバヒド・ハリルホジッチ氏(62)は,旧ユーゴスラビアの生まれである。
 20世紀には内戦の舞台ともなり,監督自身も戦争に巻き込まれ,負傷した経験もある。
同氏は,「数日前,妻が日本の歴史に関する本を買ってくれた。日本にも難しい時期があった。私の人生の中でも,とても困難な時代があった」と悲しい戦争を振り返り,「サッカーのおかげで,人生が素晴らしいものになった。サッカーは魔法のようなものだ」「情熱がいろいろなものに影響を与えていく。私のすべてはフットボールに捧げている」などとサッカーへの思いを熱く語っている。今の同氏があるのはサッカーのおかげなのだろう。
 「家族の方が寿司が好き」と笑いながら話した指揮官だが,「日本の皆さんと同じものを口にして,だんだん慣れていきたい。こうして文化,料理も尊重していきたい」と話し,日本の伝統や文化も尊重しながら,日本や日本人との距離を意識的に縮め,対立ではなく多くを理解するところから始めているようだ。
 同氏は,記者会見の最後に,日本語で「アリガトウ」と挨拶して締めた。戦争が招く悲劇を知り,その人生をサッカーで築いてきた指揮官。そのサッカーへの思いや情熱を,選手だけでなく,日本人にも伝えてほしい。