民主党処分
◆民主党は4日の常任幹事会で、社会保障税一体改革関連法案の採決で反対し、離党届を出した衆院議員37人を除籍、増税法案に反対した鳩山由紀夫元代表を党員資格停止6カ月、同18人を党員資格停止2カ月、棄権した12人を常任幹事会厳重注意、増税法案のみに反対・欠席した3人を幹事長注意の処分を決め、党倫理委員会に諮問した。倫理委員会は4日から審議し、今週内に、処分は決定される運びだ。
「処分案は、党規約を厳正に公正に適用したとはいえない。野田首相とその周辺、主流派の恣意的な判断による私刑(リンチ)といっていいものだ」。首相・代表の経験者という理由で重い処分となった鳩山由紀夫元代表グループは怒る。確かに、民主党は過去を振り返っても党議決定違反の事例にかんして、規約上の対応は、ご都合主義で一貫性がない。2006年のいわゆる「永田偽メール」事件の際には永田寿庸衆院議員は党員資格停止6カ月、質問を許可した野田佳彦国対委員長(当時)は辞任でことを収めた。当時の民主党への有権者の信頼性を傷つけた罪は、結局、永田議員個人にすべて背負わされた格好だった。永田議員は強度の精神神経症に陥り、のちに自殺した。消費税増税―小沢グループ離党をめぐる処分問題を含む民主党執行部の党運営の粗雑さは後味の悪さを世間にも印象付けた。
野田の鳩山憎し
◆「鳩山元代表の処分で野田首相は感情をむき出しにしていた。鳩山だけは許せない。総理大臣、代表経験者として本会議採決で反対票を投じたことは絶対に許さない」と周辺に漏らしていた、という。処分案決定後の3日、首相側近は「年内の選挙なら(鳩山氏の)党公認はなしだ。それで(党を)出て行くならどうぞ
と突き放したコメントをしていると「朝日」(4日)は報じている。首相側近が手塚仁雄首相補佐官であるとは少なくない政治部記者が指摘するところだが、首相周辺の「鳩山憎し」の感情が野田首相の気分をそのまま代弁しているとみて差し支えない。鳩山氏にたいする「党員資格停止6カ月」は、9月の代表選への鳩山氏の関与を排除する効果も考慮された。
野田首相が対鳩山に神経を高ぶらせている理由は、離党した小沢一郎元代表が近く旗揚げする新党と党内に残る鳩山氏のグループとが連携して、今後とも、野田政権と主流派執行部の足元を揺さぶる懸念が残るためだ。この際、鳩山氏にも離党して、民主党内を反小沢・非鳩山で「純化」を図りたい、との思惑がうかがえる。小沢残党狩りと鳩山グループ締め上げは9月代表選に向けて、さらに強まる公算が高い。
野田首相が強気の姿勢なのには、もう一つ理由がある。消費税問題では、有権者との契約(09年総選挙マニフェスト)に忠実たらんとする旗をかかげる小沢・鳩山陣営の増税反対にたいして、公約に反して民主党内で増税を推進の陣営こそがむしろ造反ではないのかとの世論が多い。世論にたいして劣勢にある野田首相が強気で押しまくることで、数による「正当性」の確保にやっきになっている、のは根拠がないことではないのである。
創業者貢献者を追放
◆今年4月の国民新党騒動では、亀井静香、亀井亜紀子が、自見庄三郎現代表、下地幹郎幹事長らに「追放」された。国民新党は結党時は綿貫民輔元衆院議長を代表を担いだが、事実上の新党旗揚げを切り盛りしたのは亀井静香である。亀井亜紀子は初代幹事長の亀井久興氏の娘で後継者である。今回の「民主党の乱」ではどうか。旧民主党の立ち上げ(1996年)の結党資金を弟・鳩山邦夫との二人で、すべて面倒をみた鳩山由紀夫元代表である。その鳩山氏を野田主流派党が追い出しにかかる。09年総選挙で自民党から政権を奪取するのにあたって最大の貢献者が小沢一郎元代表であったことを否定できる民主党議員はだれ一人いないといっていい。
まさに下剋上である。永田町は倫理も秩序も道徳も通用しない無法地帯に化している。