厳罰処分を首相に迫る財務省直系議員ら
◆岸本周平衆院議員(和歌山1区)、江端貴子衆院議員(東京10区)ら11人は27日午後、首相官邸に野田佳彦首相を訪ね、消費税増税法案など「一体改革」法案の衆院本会議における採決で「反対」、「棄権」し、「党議決定」に反した議員の厳正処分を申し入れた。リーダー格の岸本周平議員は、大蔵省(現財務省)官僚出身、財務省国庫課長などを経て、奥田碩トヨタ自動車会長(当時)の引きでトヨタ自動車に籍を置いたあとに衆院出馬。民主党からの国政転身では小沢一郎元代表の支援も受けた。岸本議員は、和歌山の地元選挙区に張り巡らす自身のポスターに「民主党」と刷りこんでいないことから、「民主党所属を表に出さない民主党議員」として知られる。
財務省直系の岸本議員らによる小沢グループを中心とする「反対」派への粛清の動きは、野田官邸―財務省ラインの意に沿った行動であろう。反対、棄権あわせて73は、官邸・財務省にとって意外なほど多い人数で、まとまって離党すれば内閣不信任案を提出できる規模に膨らんだことに内心ショックを受けている。採決直前まで、官邸・財務省は企業団体や連合労組を動員して、40台半ばに抑え込む工作に全力を上げていた。連合では仙谷由人元官長長官らと関係が太い自治労が地方組織も使って、激しい「説得」活動を展開したが、功を奏さなかった。
時期をめぎり6つの選択肢
◆とりあえず消費税政局で緒戦のポイントを上げた小沢元代表のグループだが、野田倒閣を射程に、離党―新党結成か、とどまって党内主導権の獲得へ向かうか、難しい判断を迫られる。
小沢氏には、離党―新党結成の時期をめぐる選択肢が6つある。1つは、一番早いケースで28日午後の輿石東民主党幹事長と小沢元代表の会談直後。2番目は、消費税増税法案などの審議が参議院で始まる時期に合わせて、週明けの7月初旬になる。第3のケースは、8月末と見られる一体改革法案の参院採決時期。この場合は、これからの2カ月間、離党カード、内閣不信任カードを駆使して党内多数化工作をはかることになる。第4のケースは9月の民主党代表選の時期。代表選への動きを重ねながら党内で局面打開をはかる。第5の選択肢は、年内は民主党内にとどまる。このケースは、新党を結成しても今年内の「政党助成金」の支給対象にならないという事情も考慮される。6つ目の選択肢は、解散総選挙直前まで離党しないケース。
「反対」が40人前後にとどまったとした場合、即離党―新党というシナリオを想定していた小沢グループであったが、「採決」で70を超える野田路線批判勢力が目に見える形で示されたことから、小沢氏の手持ちのカード(切り札)は、間違いなく増えた。小沢カードに、自民・公明両党ほか橋下・大阪維新の会や石原新党などの動きが「変動要因」として絡む。予断を許さない消費税政局がめまぐるしく目の前で展開する。